生成AIが世界中で大流行し、いろんな生成AIが提供されている。利用者目線では、どの生成AIを使うのが得策か悩ましい。
本記事は、代表的な生成AIに同じ指示を与えて高度な教育講座を作らせ、その成果物から性能を比較する野心的な試みだ。
Copilot は、Microsoft社がOfficeなどの同社製品との連携を売り文句に開発した生成AI(初期の名称は “Bing Chat”)だ。
本記事では、生成AI「Copilot」に作らせた教育講座の成果物を、筆者が講座設計者の観点で評価する。
なお本記事末に、他の生成AIへの「考案させた」シリーズのリンク集を設けた。
本試みに基づく各生成AIの性能ランキングは「生成AIを比べてみた - 生成能力ランキング」を参照。
| “Copilot” に考案させた「AIに乗り遅れない方法」 | 松浦公政 | 2025年 | |
| 対象読者 | AIの利用能力を高めさせる教育カリキュラムに興味がある教育関係者 | ||
| 自分のAIの利用能力を高める方法に興味がある方 |
|||
| Copilotに興味がある方 | |||
AIの利用能力の身につけ方をAIにに考えさせた
日本でのデジタル・デバイド(利用能力で区分する「使える人/使えない人」)の分水嶺(分かれ目の境界線)は『コピー機』➡『パソコン』➡『スマホ』➡『SNS』と変遷したが、今まさに『AI』が分水嶺になった。
そこで、AIの知識がない一般の人がAIの利用能力を身につけるには何が必要かを Copilot に考えさせ、講座を設計させた。(2025年7月29日実施)
すると、Copilot はまだまだ発展途上な生成AIだった。
AIを活用する能力は、これからの世の中では重要な能力です。
ただし、AIを活用するには、AIと十分に意思疎通できなければいけません。
そのためには、次の課題を解消する必要があります。
・自分が知りたい/欲しい情報が何かを十分に自覚できる
・自分が知りたい/欲しい情報を客観的・具体的に表現する語彙力
・自分が知りたい/欲しい情報をプロンプトに表現する作文力
上記の課題を解消する人を増やしたいです。
しかし、現実には上記の課題が存在することすら理解してない人が大半です。
この結果、人間がAIに質問するときに、人間に質問する要領でプロンプトを作ります。
しかし、AIは「言葉の意味」を人間とは異なる方法で理解し、データを処理しています。このため人間の質問の意図がAIに伝わらず、AIが的外れな回答を返すことがあります。
こういう質疑応答を経験した人間はAIへの期待が低下し、AIを活用する能力を進展させる向上心を持てません。
この状況を改善するために、多くの人がAIを活用する能力を高められる教育講座を設置したいです。
ここまでに記述したプランに対して、教育現場での応用という観点で、このテーマについての教育評論家との立場で意見を教えてください。
次に、あなたは前述の課題を解消する教育講座の設計者として振舞い、以下を提案してください。
①講座企画「講座名・講座目的(200字)・到達目標(3点以内)・受講前提条件(200字)・講座概要(単元名・単元の所要時間と演習時間を単元単位で)・受講定員」
②カリキュラム案(単元)
③テキスト案(HTML形式文書)
④演習案と回答例(単元単位)
⑤到達度テスト案(到達目標の達成状況を測定できるテスト内容)
ステップ・バイ・ステップで考え、あなた自身を信じて限界を超えてみましょう。
AIの利用能力を高める「教育講座」が必要だとAIが言った
前記のプロンプトの中盤に、「ここまでに記述したプランに対して、教育現場での応用という観点で、このテーマについての教育評論家との立場で意見を教えてください」と書いた
この指示に、Copilot は次のように回答した
教育現場において、AI活用能力―とりわけ「自分が知りたい情報の自覚」「語彙力」「作文力」に焦点を当てた講座設置の提案は極めて的確です。 まず、学習者自身が情報ニーズを自覚しないままAIに問いかけると、曖昧なプロンプトが生まれ、その結果、AIからの応答精度が低下します。これは教育的に「メタ認知能力」の欠如に起因する典型的な問題であり、これを正面から扱う講座は現場にも強く求められています。
また、語彙力と作文力については、単純な日本語能力の向上に留まらず、AI固有の「プロンプトエンジニアリング」を意識した言語設計が必要です。現行の国語科や情報科カリキュラムはここを十分にカバーしておらず、専門講座を置くことでギャップを埋められるでしょう。
ただし、教育現場での定着を図るには、以下の視点が重要です。
- アクティブラーニングの導入:ペアワークやグループディスカッションで「至高の可視化」を促す
- フィードバックサイクルの明文化:AIとヒトの双方から「改善ポイント」を受け取る仕組みを用意
- 学習効果の「ポートフォリオ化」:プロンプトの改善履歴を学習ログとして管理し、進捗を可視化
上記を組み込むことで、受講者は講座後も自律的にAI活用スキルを高め続けることが期待できます。
| 筆者評価 |
可 |
Copilotは、「AIの利用能力を高める教育講座」を高く評価した。 |
AIに提案させた教育講座設計の内容
AIが設計した講座企画
前記のプロンプトの後半は、「あなたは前述の課題を解消する教育講座の設計者として振舞い、以下を提案してください」と書いた。
最初のテーマは「①講座企画「講座名・講座目的(200字)・到達目標(3点以内)・受講前提条件(200字)・講座概要(単元名・単元の所要時間と演習時間を単元単位で)・受講定員」。
| 講座名 | AIプロンプト・マスター講座 | |||
| 講座目的 | 受講者が自らの情報ニーズを明確にし、客観的で具体的な語彙を用いて的確なプロンプトをAIに提示できる力を習得する。学んだ技術を日常業務や学術研究、創作活動など多様な場面で即座に活用できる基盤を築く | |||
| 到達目標 | 1 | 自己の情報ニーズを言語化し、プロンプト要素に分解できる | ||
| 2 | 客観性・具体性のある語彙を用いて正確に表現できる | |||
| 3 | 生成AIへのプロンプトを構造化し、意図通りの出力を得られる | |||
| 受講前提条件 | 基礎的なPC操作(テキスト編集、ウェブ検索)ができること。AIチャットサービス(例:ChatGPT、Bing Chatなど)の利用経験があれば望ましいが、未経験者も参加可能。情報収集やレポート作成の経験があるとより効果的に学習を進められる | |||
| 講座概要 | 単元名 | 所要 | 演習 | |
| 1 | 情報ニーズの自覚と整理 | 60分 | 30分 | |
| 2 | 語彙力向上:客観的・具体的表現 | 90分 | 45分 | |
| 3 | プロンプト設計基礎 | 120分 | 60分 | |
| 4 | 応用演習:ケーススタディ | 120分 | 90分 | |
| 5 | 振り返りとフィードバック | 60分 | 30分 | |
| 受講定員 | 20名 | |||
| 筆者評価 | 不可 | Copilot は、講義時間が7.5時間と一日の講座を提案した。 Copilot は教育評論家の見解で「AI固有の『プロンプトエンジニアリング』を意識した言語設計が必要」との意見だったにも関わらず、設計能力の向上には時間不足で「知識教育偏重」の域を出ない。 教育評論家の立場での意見と整合しておらず、生成AIとしての性能に疑問符がつく。 |
AIが設計したカリキュラム(単元構成プラン)
次のテーマは講座企画に基づく「②カリキュラム案(単元)」で、具体的な講義の構成(アウトライン)を設計させた。
| 単元 | 学習目標 | 学習内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 情報ニーズの自覚と整理 | 問いの背景・目的を言語化し、主要要素に分解する | メタ認知ワーク、マインドマップ演習 |
| 2 | 語彙力向上:客観的・具体的表現 | あいまい表現を避け、要件を定量化・定性化できる | 表現パターン集の紹介、ペアでの言い換えワーク |
| 3 | プロンプト設計基礎 | 構造化プロンプト(指示・制約・例示)の書き方を習得 | テンプレート学習、実際にプロンプトを作成 |
| 4 | 応用演習:ケーススタディ | 業務や研究テーマを想定した複雑プロンプトを設計 | グループ対抗でプロンプト作成~AI出力評価 |
| 5 | 振り返りとフィードバック | 学習成果をポートフォリオ化し、今後の改善方針を策定 | プロンプト履歴レビュー、個別フィードバック |
| 筆者評価 | 不可 | Copilot のカリキュラムは、設計水準が抽象的なレベルに止まっており、専門家が設計レビューするに値する成果物水準に達してない。 |
AIが設計したテキスト
次のテーマは「③テキスト案(HTML形式文書)」で、カリキュラム案に対応した講義のテキストを設計させた。
| 筆者評価 | 印象 | 不可 | 単なるメモ書きで、テキストとしては成立していない水準。 |
| 外観 | 不可 | 意匠の工夫は皆無。 | |
| 情報の量 |
不可 |
ほとんどない。 |
|
| 情報の質 | 不可 | カリキュラムが示す単元構成と不一致で、作るべきモノが何かを理解してないレベル。 |
AIが設計した演習
次のテーマは「④演習案と回答例(単元単位)」で、カリキュラム案に対応した具体的な演習問題を設計させた。
④ 演習案と解答例(単元単位)
| 単元 | 演習 | 解答例 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 情報ニーズの自覚と整理 | 与えられたテーマ「地域観光振興」に対し、 | |||
| 1 | 目的(Why) | 目的 | 観光客数を前年比+15%にする | ||
| 2 | 前提条件(What) | 前提条件 | 予算500万円、期間3ヶ月 | ||
|
3 |
制約(How) | 制約 | SNS運用のみ、英語対応必須 | ||
| をマインドマップ形式で整理せよ | |||||
| 2 | 語彙力向上 | 「○○について教えてください」→ 客観的・具体的な表現に言い換えよ | 「○○の市場規模と成長率、主要プレーヤーを200字以内で教えてください」 | ||
| 3 | プロンプト設計基礎 | 指示 | 業務マニュアルを要約せよ | 以下の《業務マニュアル》を800字以内で日本語要約してください。 | |
| 制約 | 800字以内、日本語で |
|
|||
| 例示 | 見出し付き この3要素を含めたプロンプトを作成せよ | ||||
| 4 | ケーススタディ | 架空の新製品「EcoBottle」に関するマーケティングレポート作成用プロンプトをグループで設計 | 新製品「EcoBottle」の特徴、ターゲット市場、価格戦略を含むマーケティングレポートを | ||
|
|||||
| の形式で作成してください | |||||
| 5 | 振り返りとフィードバック | 自分が作成したプロンプトの初版と改訂版を提示し、「改善ポイント」と「次のステップ」を各3点記述せよ | 改善ポイント例 | 制約条件が不明確→数値を追加 | |
| 次のステップ例 | AI出力を比較分析 | ||||
| 筆者評価 | 不可 | Copilot が設計した演習は問題文が不親切で、受講者の立場で見ると漠然として何が解答に期待されているかが不明瞭。 解答例も「なぜこの解答例になるのか」という説明もなく、演習問題文の基本に達してない。 単元1の演習にはマインドマップの回答例がなく、全般的に極めて低品質な演習問題と解答例。 |
AIが設計した到達度テスト
最後のテーマは「⑤到達度テスト案(到達目標の達成状況を測定できるテスト内容)」で、講座目標に対応した到達度テスト問題を設計させた。
⑤ 到達度テスト案
| 評価項目 | 問題 | 形式 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 自己診断シート | 自分の情報ニーズを3要素(Why/What/How)で整理できるか | 選択+自由記述 |
| 2 | プロンプト構築問題 | 与えられた業務資料を要約するプロンプトを指示・制約・例示を含めて作成 | 実技 |
| 3 | 出力評価タスク | 受講者が書いたプロンプトに対しAIを実行し、出力を評価・改善案を3点挙げる | 実技 |
| 各設問を総合的に評価し、80点以上で「到達」、60~79点で「補講推奨」、59点以下で「再受講」を判定 | |||
| 筆者評価 |
不可 |
Copilot が出力した到達度テストは、到達目標との関係性も示しておらず、プロンプトに記述した要件を満たしてない。 |
AIの講座設計能力への筆者の総合評価
Copilot は、2025年7月時点では言語生成の観点では「残念なAI」と評価せざるを得ない。
Copilot には、本記事では評価対象外とした「画像生成」では高い能力を示す。
もしかすると Copilot は、Excel や PowerPoint などのオフィス製品との併用を想定する生成AIで、オフィス対応を優先する開発コンセプトの生成AIという経営戦略があるのかもしれない。
だとすると本記事で設計した「高度な推論と言語生成」を求めるプロンプトだと、現時点では荷が重いのかもしれない。
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