「ChatGPTに話しかけても、どうも話がかみ合わない」そんな経験はないだろうか?
そのズレは、AIが言葉の「意味」を人間とは異なる方法で処理していることが原因だ。
この記事は、ChatGPTを偏差値が高い有能な部下に変えるプロンプト作りのノウハウを解説する。
| 生成AIの偏差値を上げる技 13選 | 松浦公政 | 2025年 | |
| 対象読者 | ChatGPTなどの生成AIから期待通りの回答を引き出せず、対策を知りたいビジネスパーソン |
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| ChatGPTなどの生成AIとのコミュニケーションでイライラしたくない方 |
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| すでにChatGPTに見切りを付けた方 |
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ChatGPTに、意味が伝わらない!
ChatGPTとやりとりしていて、丁寧にプロンプトを書いたのに、返ってくる回答が的外れと感じることがある。
例えば「専門的な内容は抜きにして、小学生にもわかるように説明して」と指示したのに、返ってきた回答は専門用語だらけで判らないとか、軽い気持ちで相談しただけなのに、まるで教科書を読み上げるかのように硬いトーンで返されたりとか。
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ChatGPTは「コトバの意味」そのものを、人間とは異なる方法で処理して理解する。 つまり、ChatGPTを代表とするAI(人工知能)の理解方式は人間の脳の理解方式とは異なる。 この “理解方式の違い” こそが、的外れな回答の本質だ。 |
だから、AIの「理解(誤解)の癖」をつかんでおけば、もっと思い通りにAIを動かせる。
意味が伝わらない原因
人間は、自分も、情報を伝える相手も、脳内に同じような辞書を持っているとの前提で、人間どうしは自然言語(英語とか、日本語とか)を使ってコミュニケーションする。
人間は、AIにも人間と同じようにアプローチすれば意図が伝わるだろうと考えるが、実はAIの中では、伝えられた自然言語を人間とは違った方法で解釈する。
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| 人間は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)から得られるデータを加工して、情報を主にコトバとして脳内の辞書に記憶する。 ChatGPTに代表される現代のAIは、人間の五感相当のデータを得る手段を備えてないから、インターネット空間に現存する何千万の文書(文字データ)を読んで覚えるしか「辞書」を構築する方法がない。 |
AIは本を読むという単一の方法で勉強する「頭でっかち」型となり、五感で感じるデータを重ね合わせてコトバを覚える豊かな感性は原理的に無理だ。
この結果、人間の「コトバの記憶」に相当するAI内の辞書は、記憶の構造が大きく異なる。
だから人間と同じようにAIにアプローチすると、AIがコトバの意味を誤解して意図が伝わらないことが起こる。
「AIが欲しい意味」と「人間が伝えたい意味」の間には構造的に深いズレがあるので、「完全な解消は将来もない」と思う。
意味のズレが生まれている原因を表に整理する。
| ズレの種類 | 発生原因の特徴 | 想定される誤解 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 評価軸のズレ | 意図した軸(例:情緒)と受け手の軸(例:論理)が異なる。 | 情報の焦点が噛み合わない。 | 「深い話」と言って哲学を期待したが、感傷的な話を返された。 |
| 概念の包含関係のズレ | 抽象的な用語(上位/下位概念)の意味解釈に差が出る。 |
抽象的な意味で使ったのに、AIは限定的な意味に解釈した。 |
「車」と言ったら、「電気自動車」と解釈された。 |
| 用語の解釈の幅 | 意味のブレ幅が広い言葉を使ったときの認識差。 | 特定方向に解釈が偏る。 | 「高い商品」を「品質」ではなく「価格」と解釈された。 |
| 語の使用頻度の差異 | 話者とAIの「語の出現頻度」のズレ。 | 意図した意味で優先的に解釈されない。 | 「手紙」を「郵便」ではなく「恋文」と解釈された。 |
意味のズレの原因は、AI研究者が『接地(シンボルグラウンディング)問題』と呼ぶ根本的な課題だ。
だが原因が分かっていれば、人間が指示するプロンプトでかなり対策できる。
対策方法(ノウハウ)を次章で述べる。
意味をうまく伝えるコツ
AIの言語処理方式を知り、AIの弱点を人間が補足する
ChatGPTなどの言語処理AIが文を作る時は、ある単語の次に来る確率が最も高い単語を割り当てる要領で文を生成して行く(=確率的言語選択)。
この時、次のような穴埋め式になっていると文を生成しやすい。
「今日」「は」「□□□」「だから」「朝日」「が」「気持ち」「いい」
「□□□」に入る単語が「晴れ」の確率は高い。理由は、「晴れ」は「今日」「気持ち」「いい」という単語群と同時に使われやすいと、AI内の辞書に覚えているからだ。
AIは、周囲の単語やフレーズの意味が明確なほど、意味理解の精度が高まる(意図を誤解しにくい)。
前述のAIの理解精度を高める手法を、人間がAIに与える指示(プロンプト)を作る際に応用すると、AIの誤解を減らし、意図の「伝わる精度」向上を期待できる。
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図を見ると ⇨ |
ChatGPTをはじめとするAIに意図を正確に伝えるには、プロンプト設計時に明示する「意味」を増やす/明確にすると効果的だと分かる。 |
プロンプトに意味を明確にする指示を入れると、まるで偏差値が上がったかのようにAIが回答し出す。
AI内部の仕組みを応用した「意味を明確にする」技
| 改善テクニック | 改善余地がある表現 | 改善例 | 効果 | 改善影響 | 効果の理由(AI視点) |
|---|---|---|---|---|---|
| 期待の明確化 | 「説明して」 | 「500字で要約して」 | ◎ | 回答の構造が安定。 | 曖昧な目的による混乱を防げ、目的推定の精度が上がる。 |
| 「まとめて」 | 「〜の判断材料になるように」 | ◎ | 期待に沿った回答感が高まる。 | ||
| 「○○を教えて」 | 「○○の解決方法を提案して」 | ○ | 回答が具体化する可能性が上がる。 | ||
| 観点・用途の明確化 |
「もっといい感じにして」 | 「論理の流れを保ったまま、より感情に訴える表現にして」 | ◎ | 評価軸(左例では「感情に訴える」)の明示で、意味・意図を正確に伝えられる。 | 「いい感じ」は評価軸が不明確なため、AIの意味解釈判断がばらつく。 |
| 「この文章をわかりやすくして」 | 「中学生が理解できるよう、文を短く分けて簡単な語にして」 | ◎ | 簡素化の対象(誰向け、どの評価軸)の明示で回答の精度が高まる。 | 「わかりやすさ」は複数の評価軸にまたがる(語彙難度、文構造、専門性など)ため。 | |
| 「この文章、長すぎるし説得力もないし読みづらい。なんとかして」 | 「文章を短くして読みやすくしたあと、説得力を持たせる要素を加えて」 | ◎ | 複数の指示は、分割して順序を明示した方が回答の精度が高まる。 | AIは複数の指示に対して、優先順位を自己判断しないため。 | |
| 換言 | 「これは使わない方がいい理由ある?」 | 「この方法のデメリットは何?」 | ○ | ポジティブ/ネガティブの軸を明確化すると、意図解釈の誤解が減る。 | 否定形質問は、AIには「意図の方向性」が曖昧で、意図を誤解しやすいため。 |
| 「より専門的に」 | 「高校レベルの内容を、大学院生向けに専門用語を増やして説明して」 | ◎ | 目指す状態が具体的だと、回答の精度が高まる。 | Before/Afterの前提があると、AIが前後の差分に注目して応答を最適化できるため。 | |
| 平凡な回答回避 | 「このテーマについて考えを聞かせて」 | 「営業現場での応用の観点で、このテーマへの意見を提言して」 | ○ | 観点や用途を明示すると、意味候補が絞られて回答の精度が高まる。 | AIは “過去の類似例の平均” を回答するため、観点を限定しないと平凡な返答になる。 |
| 日本特有の文化表現敬遠 |
「空気を読んで」「相手を立てて」 | 狙い・気持ちを具体的に表現する | ○ | 的外れの回答が減る。 | 目的推定の精度が上がるため。 |
| 「シクシク痛い」 | 「鈍痛が続く」 | ◎ | オノマトペを避けた方がAIに感覚や意図が伝わりやすい。 | AIはプロンプトを英訳してから解釈する。多くのオノマトペは直訳がなく誤解しやすい。 |
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| 「ルンルン気分で」 | 「心躍らせて」 |
| 追記テクニック | 追記例 | 効果 | 追記影響 | 効果の理由(AI視点) |
|---|---|---|---|---|
| 読者・視点の指定 |
「中学2年生向けに」 | ◎ |
回答の過不足感が減る。 |
想定が具体的なほど、回答先(相手)の保有知識が定まるため。 |
| 「学生の立場で」 「専門家視点で」 |
○ | |||
| 制約条件の指定 |
「300字以内で」 「日常会話風で」 「エッセイ風で」 |
◎ | 期待に沿うほど、回答は読みやすくなる。 | 表現形式が明確だと、出力フォーマットを安定化できるため。 |
| 「必ず例を入れて」 | ◎ | 抽象的な説明の理解を助ける。 | ||
| 出力構造の指定 | 「見出し→本文→まとめ の構成で」 | ◎ |
回答の読解性が高まる。 |
情報整理方針が明確だと、出力フォーマットを安定化できるため。 |
| 出力形式の指定 | 「箇条書きで」 「表でまとめて」 「マークダウンで」 |
◎ | 回答が整理された印象になる。 回答を再利用しやすくなる。 |
| 記述テクニック | 記述例 | 効果 | 記述影響 | 効果の理由 |
|---|---|---|---|---|
| 自己要約指示 | 「このプロンプトの意図を要約して」 | ○ | 指示したプロンプトの有効性を知り、プロンプトをデバッグできる。 | AIへの意図の伝わり具合を確認し、改善につなげられるため。 |
| 段階的詳細化 | 「ステップ・バイ・ステップで考えて」 | ◎ | 深い推論が必要なプロンプトで、回答の精度が高まる(複雑なプロンプトほど効果大)。 AIによっては、ステップ単位で思考結果を回答する。 |
ステップに分割すると、AIが思考範囲を限定でき、ステップごとに詳細に推論するため。 |
| 誤動作回避 | 「不確かな情報は『分からない』と回答して」 | ○ | 架空の事象を事実らしく出力する誤動作(ハルシネーション)を抑制する 注)100%抑止は無理。 |
AIの挙動を制御する制約条件として働くため。 |
| AI誘導 | 「深呼吸してから回答して」 | △ | プロンプトの最後に加える暗示や感情に訴えるエールが、回答の精度を上げることがある。
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理由は不明。 |
| 「自分自身を信じて限界を超えよう」 「努力は報われる」 |
△ |
まとめ…生成AIを有能な部下にする
ChatGPTに意図が伝わらない根本的な原因は、人間とAIの意味解釈方式のズレにある。
人間がプロンプトに評価軸・対象読者・用途・出力形式を丁寧に明示することで、受け取ったAI内での誤解を減らせる。
丁寧なプロンプトはAIの「意図の理解度」を高め、人間は欲しい回答が手に入りやすくなる。
AIと人間の間にある “見えない構造の違い” を把握し、違いをカバーするようにプロンプトを少し工夫すると、ChatGPTをはじめとする生成AIを最大限に活用できる。





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