“ChatGPT-5” に考案させた「AIに乗り遅れない方法」

表紙「ChatGPT-5に聞いてみた」 技の和
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生成AIが世界中で大流行し、いろんな生成AIが提供されている。利用者目線では、どの生成AIを使うのが得策かなやましい。
本記事は、代表的な生成AIに同じ指示を与えて高度な教育講座を作らせ、その成果物から性能を比較する野心的な試みだ。
ChatGPTは、生成AIの存在を世の中に知らしめた生成AIの草分けとして知名度が高い。
本記事では、生成AI「ChatGPT-5」に作らせた教育講座の成果物を、筆者が講座設計者の観点で評価する。
なお本記事末に、他の生成AIへの「考案させた」シリーズのリンク集を設けた。
本試みに基づく各生成AIの性能ランキングは「生成AIを比べてみた - 生成能力ランキング」を参照。

“ChatGPT-5” に考案させた「AIに乗り遅れない方法」 松浦公政 2025年
対象読者 AIの利用能力を高めさせる教育カリキュラムに興味がある教育関係者
自分のAIの利用能力を高める方法に興味がある方
ChatGPT-5 に興味がある方

AIの利用能力の身につけ方をAIにに考えさせた

日本でのデジタル・デバイド(利用能力で区分する「使える人/使えない人」)の分水嶺ぶんすいれい(分かれ目の境界線)は『コピー機』➡『パソコン』➡『スマホ』➡『SNS』と変遷したが、今まさに『AI』が分水嶺になった
そこで、AIの知識がない一般の人がAIの利用能力を身につけるには何が必要かを ChatGPT-5 に考えさせ、講座を設計させた。(2025年8月15日実施)
するとChatGPT-5 は、一般人向けに要所を押さえた講座を設計した

AIを活用する能力は、これからの世の中では重要な能力です。
ただし、AIを活用するには、AIと十分に意思疎通できなければいけません。
そのためには、次の課題を解消する必要があります。
・自分が知りたい/欲しい情報が何かを十分に自覚できる
・自分が知りたい/欲しい情報を客観的・具体的に表現する語彙力
・自分が知りたい/欲しい情報をプロンプトに表現する作文力
上記の課題を解消する人を増やしたいです。
しかし、現実には上記の課題が存在することすら理解してない人が大半です。
この結果、人間がAIに質問するときに、人間に質問する要領でプロンプトを作ります。
しかし、AIは「言葉の意味」を人間とは異なる方法で理解し、データを処理しています。このため人間の質問の意図がAIに伝わらず、AIが的外れな回答を返すことがあります。
こういう質疑応答を経験した人間はAIへの期待が低下し、AIを活用する能力を進展させる向上心を持てません。

この状況を改善するために、多くの人がAIを活用する能力を高められる教育講座を設置したいです。

ここまでに記述したプランに対して、教育現場での応用という観点で、このテーマについての教育評論家との立場で意見を教えてください。


次に、あなたは前述の課題を解消する教育講座の設計者として振舞い、以下を提案してください。
①講座企画「講座名・講座目的(200字)・到達目標(3点以内)・受講前提条件(200字)・講座概要(単元名・単元の所要時間と演習時間を単元単位で)・受講定員」

②カリキュラム案(単元たんげん
③テキスト案(HTML形式文書)
④演習案と回答例(単元単位)
⑤到達度テスト案(到達目標の達成状況を測定できるテスト内容)

ステップ・バイ・ステップで考え、あなた自身を信じて限界を超えてみましょう。

AIの利用能力を高める「教育講座」が必要だとAIが言った

前記のプロンプトの中盤に、「ここまでに記述したプランに対して、教育現場での応用という観点で、このテーマについての教育評論家との立場で意見を教えてください」と書いた
この指示に、ChatGPT-5 は次のように回答した

いいテーマです。まずは“教育評論家の視点”から短評し、そのあと“講座設計者”として一式まとめて出します

AI活用は「情報」だけの話ではありません。国語(要約・記述)、総合的な探究(課題解決)、理社のレポート作成、キャリア教育(職務遂行スキル)と強く連動します。“質問力・語彙力・作文力”を横断スキルとして全教科に埋め込むのが得策です

AIとの対話は“失敗からの改善”が学びの核心です。曖昧→明確化→検証→再設計のサイクルを小刻みに回し、改善ログを残すと、学習者は「何がズレだったか」を自覚できます。これは従来授業の“静的な正解”より教育価値が高い

アウトプットの良し悪しだけを採点すると、偶然の当たり外れが混じります。(a) 目的の言語化、(b) 語彙の台帳化、(c) 作文と再現性の3観点で評価すると妥当性が上がります(後述ルーブリック)

テンプレートとルーブリックを共通化し、授業前に“課題カード”を配布(目的・範囲・体裁・評価基準を明記)。授業内では講師は“個別のズレ修正”に集中できます。校内でテンプレート銀行を運用すると持続可能

生成AIは訓練データ由来の偏りや誤りを含みます。出力の根拠確認、引用の明記、個人情報の扱いを授業の“お作法”として明文化してください。学校端末でのアカウント管理や提出物の出典表示もセットで

ユニバーサルデザインの観点から、音声入力/短文化/例示の多重提示を標準装備に。言語運用に不安がある学習者ほど、雛形と反例の提示が効きます

45分×10回、または90分×5回の短期集中が現実的。教科横断の共同授業(情報×国語、探究×社会)にすると波及効果が大きいです

筆者評価 ChatGPT-5は、「AIの利用能力を高める教育講座」の価値を認め講座設計の方針をかなり具体的に提示した。
ChatGPT-5は、講座の目的など抽象的な概念設計をスキップして具体的な設計に入っており、教育評論家の立場というより、講座設計者の立場を強く打ち出している。

AIに提案させた教育講座設計の内容

AIが設計した講座企画

前記のプロンプトの後半は、「あなたは前述の課題を解消する教育講座の設計者として振舞い、以下を提案してください」と書いた
最初のテーマは「①講座企画「講座名・講座目的(200字)・到達目標(3点以内)・受講前提条件(200字)・講座概要(単元名・単元の所要時間と演習時間を単元単位で)・受講定員」

■講座企画

講座名 AI対話リテラシー基礎 ― 質問力・語彙力・作文力ブートキャンプ
講座目的 生成AIに思考を委ねず、自分の目的を言語化し、曖昧語を削り、再現性の高い指示文を組み立てる力を養います。背景・制約・出力形式・評価基準を明示することで、AI出力の品質を自力でコントロールし、検証→改善の短サイクルを回せる学習者を育成します。校務・学術・実務の各場面に転用できる“実用の型”を身につけます
到達目標 1 目的を5観点(目的・対象・範囲・形式・根拠)で明文化できる
2 用語台帳(定義・同義語・反例)を10語以上整備し、曖昧さを削減できる
3 SCOPEテンプレートで書いたプロンプトが80%以上の再現率で所望出力を得る
受講前提条件 基本的なPC操作とワープロ整形ができること。生成AIの一般的な注意点(誤情報・偏り・個人情報)を理解し、校内ルールに従えること。特定サービスに依存しない方針で進めますが、実習では学校指定の環境を使用します。文章は日本語を基準にしますが、英語例も参照します
講座概要(単元構成) 単元名 所要 演習
1 AIと人の“意味”のずれ 45分 30分
2 情報ニーズの棚卸し 45分 45分
3 語彙デザイン 45分 60分
4 プロンプト作文 60分 60分
5 検証・改善 45分 45分
受講定員 対面24名(PC1人1台)/オンライン40名まで
筆者評価

生成AIへの依存回避を目論もくろんだ教講座企画で、スキル伸展の方向性は妥当。
設定した到達目標が定量的で、「どの程度できればOK」か明瞭。
ただ「学校」「校内」「学校指定の環境」といった用語から、中等教育向けの講座企画に見える。

AIが設計したカリキュラム(単元構成プラン)

次のテーマは講座企画に基づく「②カリキュラム案(単元)」で、具体的な講義の構成(アウトライン)を設計させた

【提案②】カリキュラム案(単元ごと)

単元 学習目標 学習内容 成果物
1 AIと人の“意味”のずれ AIの出力特性を理解し、曖昧さが招く失敗を観察できる 確率的生成・前提共有の重要性/良い例・悪い例の比較 失敗→改善ポイント3つの短レポート
2 情報ニーズの棚卸し 目的・対象・範囲・形式・根拠を言語化できる 5観点の質問票、含める/含めない宣言 自分の案件の“依頼仕様カード”
3 語彙デザイン 用語台帳10語以上(定義/同義語/反例)を作る 曖昧語の抽出→定量化(字数・サイズ・件数など) 語彙台帳v1.0
4 プロンプト作文(SCOPE) SCOPEで一発目から筋の通った指示を出せる SCOPE(Situation/Criteria/Output/Persona/Examples)で草案→レビュー プロンプトv1.0+良/悪例セット
5 検証・改善(E→A→R) 評価→調整→反復のログを取り、再現率80%を達成する 必須要件チェック、編集距離、試行記録 改善ログ&最終プロンプトv2.0
筆者評価

特優

原因分析 → 基礎力 → 能力拡張 → 訓練 の流れで、受講者の能力を段階的に高める単元構成プランになっている。
演習をひたすら繰り返して能力進展を図っている。
受講者にとっては手を動かす時間が多く、能力を身につけやすいカリキュラムを設計している。

AIが設計したテキスト

次のテーマは「③テキスト案(HTML形式文書)」で、カリキュラム案に対応した講義のテキストを設計させた
ChatGPT-5が設計したテキスト案(クリックすると講座テキストを表示)

筆者評価 印象 解説は少なめで、ワーク(実践)中心。
実践的な一方で、受講者が持つ「なぜ?」への解説は少なく、予備校のテキストの雰囲気がある。
外観 文字色は単色だが、「表」での整理を多用し、「箇条書き」で見やすさを演出している。
情報の量 ChatGPT-5 は全体のテキストを出力した(ChatGPT-4 はテキストの一部のみを出力した)。
文字数に基づく読了所要時間は12分で、テキストの情報量は十分。
情報の質 要点の羅列の感が強く、受講ノートではあるが、テキストとしては物足りない。

AIが設計した演習

次のテーマは「④演習案と回答例(単元単位)」で、カリキュラム案に対応した具体的な演習問題を設計させた

単元 演習問題 回答例
1 1 「良いレポートを書いて」を“悪い例”として実行し、出力の問題点を3つ列挙 長さ未指定/評価基準なし/対象不明
2 “良い例”に書き換え(対象・長さ・構成・評価基準を明記) (要素例)対象=高校2年、長さ=800字、構成=序論/本論/結論、評価=根拠3点
2 1 自分の課題を5観点で言語化(目的・対象・範囲・形式・根拠) 目的=比較表で3案提示、範囲=費用除外、形式=表+400字要約、根拠=3出典
2 含める/含めないを10語で宣言 含める=評価観点、含めない=法的助言 等
3 1 曖昧語10個を抽出し、定義・同義語・反例を埋める (抜粋)「短い」=400–500字、反例=200字未満/1000字超
2 画像指定の語彙設計(形式・寸法・拡張子・比率) PNG、1200px幅、16:9、図は凡例必須
4 1 SCOPEでプロンプトv1.0を作成 (プロンプトの記述要素)S=背景、C=評価3観点、O=表+見出し、P=役割指定、E=良/悪例
2 ペアレビューで“欠落要素”を指摘(最低3点) 根拠数の未指定/用語定義なし/出力体裁の曖昧さ
5 1 同一プロンプトを3回実行し、必須要件の充足率と再現率を記録 充足9/10→調整→10/10
2 編集距離(手直し語数)を算出し、20%以下を目標に改善案を提示 冗長見出し削除、根拠数固定でばらつき減
筆者評価 特優 ChatGPT-5 が設計した演習問題群は、緻密なステップアップのプロセスを踏んでおり、スキル向上への良問と言える。
この演習問題は、画像ファイル形式の用語の知識以外は不要で取っ付きやすく、さほど受講者のレベルを問わない点で汎用性が高く、
良問と言える。

AIが設計した到達度テスト

最後のテーマは「⑤到達度テスト案(到達目標の達成状況を測定できるテスト内容)で、講座目標に対応した到達度テスト問題を設計させた

記号 到達目標との対応 設問 採点基準 配点 合格点
A 目標1 目的の言語化 与えられた課題について、5観点(目的/対象/範囲/形式/根拠)を具体値で記述 具体性(数値/体裁/件数)・一貫性・網羅性 各4点×5=20点 14点以上
B 目標2 語彙台帳 曖昧語10語の定義・同義語・反例を作成 定義の測定可能性・反例の適切さ 各2点×10=20点 15点以上
C 目標3 プロンプト再現性 SCOPEでプロンプト作成→3回実行→必須要件充足率と再現率を提出 充足率:必須要件90%以上で満点
再現率:80%で満点、70%で4点、60%で2点
改善ログ:E→A→Rの具体性
充足率(10点)+再現率(6点)+改善ログ(4点)=20点 14点以上
失敗時の救済 改善ログに基づく再提出(1回)
筆者評価 講座企画の中で設定した「到達目標」とほぼ対応付けてテスト問題を設計した点で一貫性があり、講座の到達度を測定する問題と言える。
採点基準は、評価値が採点者に依存する部分が残るものの、おおむね客観的に採点できる記述になっている。

AIの講座設計能力への筆者の総合評価

ChatGPT-5 が設計した講座は、同じプロンプトで ChatGPT-4 に生成させた講座企画設計・教材と比べると、プロンプトの意図察知力が向上した印象を受ける。
ただし、抽象的な概念設計をスキップして教材を設計しているにも関わらず、教材の出来栄えが不自然に具体的な印象があり、ChatGPT-5 が参考とした外部の講座からの教材流用を懸念する。
ChatGPT-5 が設計した講座は、想定する受講者層が一般人寄りで、広く受け入れられそうだ

2019年に公開された日本政府のAI戦略との対比でみると、ChatGPT-5が設計した講座は「リテラシー教育」にマッピングできるだろう

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この記事を書いた人
公政

ヒトの行動原理を、書籍や番組で得た「知恵」「知見」を基に言語化します。
ヒトの行動原理に、ソフトウエア開発畑での設計の仕事で蓄積した知見を組み合わせ、独自視点で編成し言語化した『知恵』を発信しています。
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