Covid-19第1波の感染傾向調査に基づくリスク分析

新型コロナウイルスの顕微鏡写真 継の和
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2020年5月25日、新型コロナ(以下、Covid-19)の日本での最初の緊急事態宣言が解除され、第1波が終息した。
Covid-19の第1波における県別の感染状況(県民の行動様式や消費傾向と、感染率の高さの関係)から、感染リスクを高める行動などを、5月25日時点の感染状況のデータ(項目数:1,272項目、生データ数:60,067件)を処理して統計的に分析する。なお分析はすべて手作業で行いAIは利用しない。
また、第1波では全国一斉の休校処置をはじめ、様々な対応策が実施された。対応策のうち、どの対応が感染対策として効果が高かったか、あるいは、対応策とは無関係な要素が効果をもたらしたか、を検証し、効果のありそうな「行動様式」「消費傾向」を明らかにする。

【データ分析に関する重要なお知らせ】
本記事は、ITエンジニアの視点から公開統計データを分析・可視化したもので、医学的助言や診断を提供する機能はありません。誰もが入手可能なデータに基づいて社会的傾向を考察する目的の記事です。医療に関する最終的な判断は専門家にご相談ください。

本質の羅針盤シリーズ② Covid-19第1波の感染傾向調査に基づくリスク分析 松浦公政 2020年8月
対象読者 感染対策として効果的な(逆にリスクが高い)行動様式や消費傾向に興味がある方
「食品」「生活スタイル」と「感染率」の関係に興味がある方
県別の感染実勢分析に基づく「人口集中度」と「感染率」の関係に興味がある方
取り急ぎの方は、ここをクリックすると、分析結果の要約へジャンプします

はじめに

2020年5月25日、Covid-19の日本での最初の緊急事態宣言が解除され、感染の第1波は終息した。だが、緊急事態宣言の解除に伴って様々な活動の自粛意欲の低下を引き金とするように感染者数は再上昇した。
第1波では全国一斉の休校処置をはじめ、様々な対応策が実施された。対応策のうち、どの対応が感染対策として効果が高かったか、あるいは、対応策とは無関係な要素が効果をもたらしたか、を第1波が収束したと見られる5月25日時点の感染状況のデータを用いて検証する。
検証の結果、感染対策として効果的な(逆にリスクが高い)行動様式や考慮事項が浮かび上がれば、今後来る波の規模拡大を抑制する行動・活動指針のひとつとなるだろう。

感染拡大要因の判定方針

本分析が目標のひとつとする「対応策の効果」を測定するには、感染を拡げる要因(いわゆるファクターX)を特定する必要がある。
要因の特定に当たり、日本には「感染が拡がった地域」と「それほど感染が拡がらなかった地域」が存在する事実に着目する。
この事実に着目して、次の方針で感染拡大要因を特定し、要因と照らして対応策の効果を測定し、効果のありそうな「行動様式」「消費傾向」を明らかにする。

感染が拡がった地域と、拡がってない地域に分別し、地域ごとの感染の拡がり方を計測する

感染が拡がった/拡がってない 地域が持つ様々な特性を計測する

感染の拡がり方と、地域が持つ様々な特性の、「関連性」を、統計手法を用いて分析する

地域が持つ特性が、感染の拡がり方と強い関連があれば、感染を拡げる要因の可能性が高い

感染を拡げる要因に照らして、対応策の効果を測定する

過去の対応策に関わらず、効果のありそうな「行動様式」「消費傾向」を明らかにする

地域ごとの感染状況

感染が拡がった地域と、拡がってない地域との分別

厚生労働省が日々更新する新型コロナウィルス(Covid-19)の感染数データが県単位で集計・公開されているため

インターネット上で公開されている地域が持つ様々な特性(人々の「行動傾向」「消費傾向」を示す)データの多くが県単位で集計・公開されており、厚生労働省の感染数データと1対1で対応付けられるため

県が現場で対応策を推進する単位となっており、住民も対応策の活動単位や感染状況集計単位として意識しやすいため

県単位での比較に際しての留意点

県別の感染者実数ランキングは、『東京』がダントツを示す。『東京』の第1波の感染者数は5,155人で全国平均346人の14.9倍ある。2位の『大阪』と比べても3倍近く引き離して独走した。

県別の感染者実数ランキング・グラフ

グラフ 3‑1 県別の感染者実数ランキング


感染者実数ランキングを見ると、Civid-19は圧倒的に『東京』の問題に見える。だが、Civid-19の強力な飛沫感染力を考慮すると、グラフ 3‑1の『東京』突出度は、過度に盛られている。
飛沫感染は人が濃密に集まりやすい状況ほど感染しやすい。人が濃密に集まりやすい状況を作る下地になる人口と場所の広さ(面積)は、グラフ 3‑2、グラフ 3‑3のように県ごとで差が大きい。

県別の人口ランキング・グラフ

グラフ 3‑2 県別の人口ランキング


県別の面積ランキング・グラフ

グラフ 3‑3 県別の面積ランキング

このため、県単位での計測に際しては、人口規模差と面積差を考慮した比較指標に補正する必要がある。

県ごとの感染者数を適正に比較・評価するために、まず各県の人口規模差を吸収する。

人口規模差の吸収方法

10万人当たりの感染者数(以降「感染率」と表す)を評価指標として県の人口規模差を吸収してから比較する。

グラフ 3‑4は、各県の10万人当たりの感染者数として人口の規模差を吸収した感染率のランキングだ。

県の人口規模差を吸収した感染率ランキング・グラフ

グラフ 3‑4 県の人口規模差を吸収した感染率ランキング


「グラフ 3‑1 県別の感染者実数ランキング」とグラフ 3‑4を比べると、以下が見えてくる。

グラフ内の『東京』の突出具合は小幅になる。

「県別の感染者実数ランキング」では値が小さすぎて、グラフがゼロに見えた下位県にも感染があることが分かる(『岩手』は感染者ゼロ)。

「県別の感染者実数ランキング」では6,000を示したグラフのタテ軸の目盛の一番上が、「県の人口規模差を吸収した感染率ランキング」では40と小さな値になる。首位『東京』と各地との差が縮小したことがグラフの目盛からも読み取れる。

感染者の実数は『東京』で大量発生しているが、人口規模の差を吸収すると感染率1位の『東京』は全国平均の2.9倍で、県ごとの感染の拡がりのを数値で把握できる。
感染者実数ランキングでは『東京』が全国平均の14.9倍であることから『東京』の感染率が全国平均の2.9倍という数値を意外に「低い」と感じる見方もあろう。

指標

全国平均値

東京の値

倍率

感染者実数

346人

5,155人

14.9

感染率(10万人当たり)

12.91人

37.00人

 2.9

しかし人口要因を除くと、『東京』の感染拡がりの実勢は全国平均の2.9倍に過ぎない。
なお、感染に影響するもうひとつの要素である場所の広さ(県の面積)を考慮に加えると、差はさらに縮まっていく。

県ごとの感染者数を適正に比較・評価するために県の場所の広さ(面積)の差も吸収する。

面積差の吸収方法

県内の特定地区への県民人口の集まり具合を加味して県の差を比較する。

県単位の感染率は大きなバラつきがあり、感染拡大抑止をうまくコントロールできた県、残念ながらコントロールにほころびが生じた県が存在する。主に大都市で感染者数が拡大した事実から、人口の多い県は感染拡大抑止の難易度が高かったと推測できる。
ただし、感染抑止の難易度を上げる要因は、人数の多さよりも、狭い地域に人が集まっている程度の方が影響は大きいだろう。各県の感染抑止の難易度を決める要因となりそうな指標を表 3‑1で比較する。
表 3‑1 感染抑止の難易度を示す「人の集まり程度」を示す指標の優劣評価

指標

感染抑止の難易度を上げる根拠

優劣

人口

人が多い県ほど感染を抑えにくい

人口密度

県の総面積当たりの人口が多い県ほど感染を抑えにくい

特定地域への人口の集中度合い

県内の特定の狭い地域・空間に人口が集中する県ほど感染を抑えにくい

例として『北海道』の感染率が高いケースを取り上げる。広大な面積のため人口密度が低い『北海道』は、感染地域が道内の特定地域に集中したため、多くの感染者が出たと考えられる。
そこで、感染抑止の難易度が人口や人口密度ではなく、県内の特定地域への人口の集中度合いに依存するとの仮説を立てる。人口の集中度合いを示す具体的な指標として、国勢調査の集計項目で公開されている各県の「人口集中地区」を使う。

国勢調査の「人口集中地区」の定義

 

「人口集中地区」のイメージ

人口密度の高い基本単位区(人口密度が1平方km当たり約4,000人以上)が市区町村の境域内で互いに隣接して、国勢調査時に人口5,000人以上を有する地域。

「人口5,000人」を一戸の平均人数(2.03)で割ると「2460戸」で、これは四方の隣戸との平均距離が20m以内の地区となる。
要するに「都心」や「住宅地域」である。

人口集中地区は2015年の国勢調査では全国で540,600区画が該当し、大都市以外にも存在する。たとえば市人口が全国700位の兵庫県相生市(人口3万人強)内にも人口集中地区はある。


人口集中地区に住む人口を県の総人口で割ると、県民の何%が都心あるいは住宅地(以下、都市部と称す)に集中して生活しているかを表す指標となる。この指標を本分析では「人口集中度」と命名する。
県別の人口集中度ランキングをグラフ 3‑5に示す。

県別の人口集中度ランキング・グラフ

グラフ 3‑5 県別の人口集中度ランキング


グラフ内の「全国平均」の位置を見ると、日本はかなり偏った地域に住んでいることが分かる。日本全体の人口集中度は69%と、日本居住者のほぼ7割が人口集中地区に住む。

留意点の補正方法の妥当性確認

人口集中度ランキングと、感染率ランキングを並べる(図 3‑1)と、両方のランキング上位の県の重複が多い。この事実から、感染抑止の難易度が特定地域への人口の集中度合い(人口集中度)に依存するとした仮説の妥当性を確認できる。
感染率ランクと人工集中度ランクの比較図

前述の『北海道』の人口集中度は77%と全国平均より高い(全国7位)。道民の約四分の三は都市部に住み、四分の一が広大な土地に、比較的小規模な集落を形成するか、点在して住んでいるのだろう。『北海道』は都市部の生活者が多いため、感染抑止管理の難易度は全国平均よりも高いと考えられる。

なお人口集中地区を象徴的に言うと『人との距離が近い』空間だ。人との距離が近いほど飛沫感染のリスクが高まるため、人口集中地区は『潜在的な感染クラスター空間と考えられる。つまり日本居住者の約7割が潜在的な感染クラスター空間に生活している。
感染者実数ランキング1位の『東京』の感染者数は、全国平均の14.9倍ある。この数値を見れば、Covid-19はまさに「東京問題」といえよう。だが人口集中度ランキング1位の『東京』の人口集中度(96%)は全国平均(69%)の1.4倍でしかない。

指標

全国平均値

東京の値

倍率

感染者実数

  346人

5,155人

14.9

感染率(10万人当たり)

12.91人

37.00人

 2.9

人口集中度

69%

96%

 1.4

感染抑止の難易度を上げる大きな要因と分析した「人口集中度」の視点で見ると、『東京』に内在する感染クラスター発生リスクが突出して高いとの認識は、かなり甘い

人口集中度と感染率の関係

人口に基づく感染抑止の難易度を反映する指標の人口集中度を横軸に、感染率(感染者数を人口規模差を吸収した値)を縦軸として、県ごとの相関値(相関係数:松浦公政『統計分析技法「相関」』参照)をグラフ上に点を打って示す(図 3‑2 人口集中度と感染率の相関図)。

人口集中度と感染率の相関図グラフ
図 3‑2 人口集中度と感染率の相関図

各県の相関値が全国平均より高いか低いかを判別しやすくするために、全国平均の点が原点に見えるように縦(青点線)横(赤点線)の補助線をグラフに追記してある。
たとえば『千葉』の人口集中度は74%、感染率は14.4人/10万人で、どちらも全国平均をやや上回る。このため『千葉』のグラフ上の位置は、青点線と赤点線が交わる(十字の)点のやや右上になる(図 3‑3)。

相関図へ記入する座標点の位置例図

図 3‑3 相関図へ記入する座標点の位置(例:千葉県)

『千葉』の点の位置から垂線を下したときの横軸(人口集中度)の値が70%と80%の間(正確には74%の位置になる)にある。また『千葉』の点の位置から水平線を左側へ伸ばしたときの縦軸(感染者数/10万人)の値が15の少し下(正確には14.4の位置になる)にある。
この要領で全県の点を打つ。このように縦軸と横軸に対応する座標に点を打ったグラフを統計用語で「相関図」(または散布図)と呼ぶ。
47都道府県の点を反映した相関図(図 3‑2)は、各県の感染実勢の立ち位置を視える化している。

たとえばグラフの最も左下に位置する『島根』の点と、最も右寄りでグラフの中ほどに位置する『大阪』の点を見比べると、人口集中度が低い県より高い県は感染率が高いという関係になっている。
さらに47都道府県の各点の位置を全体的に眺めていると、何となく一定の傾向(人口集中度が高い県ほど感染率が高い)を持つように見える。相関図で「何となく見える傾向」こそが相関関係だ。この傾向は統計手法を使って「直線の傾き」として計算できる。

人口集中度と感染率の相関図に相関関係の傾きの直線を追記した図
図 3‑4 人口集中度と感染率の相関図に相関関係の傾きの直線を追記

図 3‑4に、「何となく見える傾向」を相関図上の「直線」で視える化した。この直線の傾きは「人口集中度の高さ」(横軸)と「感染率」(縦軸)の依存関係を示す値になる。
直線が右肩上がりのため、人口集中度と感染率には正の相関がある(意味は 松浦公政『統計分析技法「相関」』参照)。前に立てた「感染抑止の難易度は、人口集中度に依存する」との仮説の妥当性を相関図で視覚的に確認できる。

図 3‑5は、相関図を見比べるために、便宜的に直線から離れた位置の県の感染率の値を操作して座標を変えた相関図を並べた。
図 3‑5の右側の相関図のように、各県の座標が直線に近づくほど「傾向がはっきり見える」ように感じる。各点の座標が直線に近い位置に集中的に分布する相関図の方が、傾向がはっきり見えて相関関係が「強い」という。

相関度の強さが異なる相関図の対比図
図 3‑5 相関度の強さが異なる相関図の対比

なお、相関関係の強弱は傾向(直線の傾きの角度)とは無関係で、各点の位置の「分散状況」(集まり具合)で決まる。

本分析の目的は、感染率との関係が深いデータ項目を探すことなので、図 3‑2のような相関図を多数作成(横軸を人口集中度以外のデータ項目に変更)して相関度を比較することになる。
相関図は人間の視覚に訴えるが、並べた相関図から相関度が高いデータ項目はどれか、の判別は容易でない。相関の強弱は、相関図より数値の方が比較しやすい。そこで相関係数という統計上の尺度指標(意味は松浦公政『統計分析技法「相関」』付録A参照)を使う。図 3‑2 人口集中度と感染率の相関図の相関係数を算出すると0.68で、やや強めの相関がある(つまり人口集中度の大小が感染率の高低に及ぼす影響はけっこう大きい)。

地域ごとの特性を示すデータ群

総務省は日本在住者の生活様式を計測(多くは年1回実施)し、調査結果を集計した政府統計情報としてインターネット上で公開している。公開されているデータ項目数は膨大にある(全項目数は分からなかった。過去年次分を含めると軽く10万項目はありそうに見える)。政府統計は総務省の他にも、観光庁が観光客のデータを集計・公開している。
また民間に日本人の消費傾向(例えばビールや砂糖の消費量)を県別に集計して公開されているサイトも多数ある。
本稿では、以下のサイトで公開されているデータを再利用させていただいた。この場を借りて御礼申し上げる。なおデータの転記ミス類は筆者の責に帰す。

  表 4‑1 計測対象データの情報源一覧

情報源サイト

計測対象データの項目例

項目数

政府統計ポータルサイト(e-Stat)

人口・世帯

年齢ごとの配偶状況、高齢者世帯数、在留外国人数 等

240

経済基盤

製造業従事者数、規模ごとの事業所数 等

 49

行政基盤

歳入決算総額(都道府県財政)、国庫支出金(都道府県財政) 等

 14

教育

小中高大の学校の平均生徒数・教員数 等

 66

労働

他市区町村への/からの通勤者数、転職率、県内就業者率 等

 45

文化・スポーツ

図書館数、映画館数、プール数、旅券発行件数 等

 15

居住

共同住宅数、下水道区域人口、飲食店数、コンビニ軒数 等

 70

健康・医療

病院数、医療従事者数、死因比率、食中毒発生状況 等

 60

福祉・社会保障

老人ホーム数、民生委員数、国民健康保険被保険者数 等

 63

安全

消防署数、警察官数、犯罪検挙件数、交通事故発生件数 等

 46

家計

食料費、住居費、教育費、娯楽費、可処分所得額 等

 23

生活時間

睡眠時間、通勤・通学時間、家事の時間、学習の時間 等

148

自然環境

森林面積、自然公園面積、自然環境保全地域面積 等

  9

鉄道輸送統計

ロープウェイ・ゴンドラ旅客数 等

  4

自動車輸送統計

乗合バス延べ輸送量、貸切バス延べ輸送量 等

  6

観光庁 統計調査(2020年1月報)

各県民および来日外国人の国・日本での宿泊先データ 等

 82

総務省 25年版 情報通信白書

情報通信業の従業者の割合、教室インターネット接続率 等

  18

都道府県データランキング

ホテル客室数、年間降水量、喫煙率、通販利用額 等

  46

地域の入れ物

ごはん消費量、各種野菜消費量、各種海産物消費量 等

 241

GD Freak!

各種酒類の消費量

  13

“酒豪”どこに多い?「全国酒豪マップ」の謎

酒豪型遺伝子の出現率

   1

ニッポンのセックス

性交渉経験人数、浮気率、初体験年齢 等

   8

全軽自協統計資料

一般車保有台数、軽自動車保有台数 等

   5

1,272


また次の理由で、原則として2018年のデータを利用した。

データを収集した時点では未公開の2019年データ項目も多く、2019年データが揃わない。

2019年はラグビーワールドカップが全国規模で開催され、消費スタイルが一過性の影響を受けている可能性がある。

Covid-19が感染しはじめた2020年初頭時点では、2018年の生活スタイル・消費傾向から大きな変化がないとの想定は合理的。

2018年時点は誰もCovid-19の存在を意識せず、感染拡大による行動変容がない「素」の状態での行動・消費データが得られる。


ただし、観光庁が公開する観光客データは、Covid-19が流入した可能性が高い2020年1月のデータを利用した。
なお、表 4‑1の総務省の情報通信白書のように、2018年以前のデータを用いたデータ項目も含むが、全体に占める割合は多くはない。

データ計測・分析仕様

行動様式や消費動向と、感染率への影響の計測

県別の行動様式(例:平均通勤時間)や消費傾向(例:カップラーメンの平均消費量)を示すデータ項目と、県別の感染率データを突き合わせると、その行動や消費が感染率に影響した程度が分かる(※突き合わせ方法は、中学・高校の数学の「統計」の章で学習する「データの相関」を利用する)。
表 5‑1は前述した「図 3‑2 人口集中度と感染率の相関図」を数値で表現した表(つまり相関図グラフの元データ)で、県の人口差を吸収した感染率を示す

感染率ランキング表
感染率と、様々な行動様式・消費傾向との相関度を算出すると、感染を促進(または抑止)する行動や消費が浮かび上がる

たとえば、カップラーメンの消費量が感染率に影響を与えている程度(相関度)を調べるには、県ごとの「カップラーメンの平均消費量」のデータと「感染率」のデータが分かれば、表計算アプリ「EXCEL」が提供する統計機能で容易に「相関係数」を算出できる。

カップラーメン消費量と感染率の対比表
一例として、もしカップラーメン消費量と感染率の相関係数が大きいと、カップラーメン消費が感染を促進(または抑止)する要因だと分かる

算出した相関係数とは、二つの要素が示す関連の強さを示す統計上の尺度指標で、「-1」~「0」~「+1」の値を採る。
相関係数値が持つ意味は、統計学が提供している知見に基づき、本稿では表 5‑3で定義する。
   表 5‑3 相関係数値を意味付ける閾値の定義

相関係数範囲

統計上の意味

本分析での感染率への影響

+1.0

+0.8

強い正の相関

値が大きいほど感染率が高い

+0.8

+0.6

正の相関あり

+0.6

+0.4

弱い正の相関

+0.4

-0.4

相関なし

感染率の高さに影響しない

-0.4

-0.6

弱い負の相関

値が小さいほど感染率が高い
※負数のため、-0.2より-0.7の方が値は小さい

-0.6

-0.8

負の相関あり

-0.8

-1.0

強い負の相関

カップラーメンの平均消費量と感染率の相関係数を表計算アプリが計算すると+0.13なので、表 5‑3の「相関なし」のカテゴリーに入る。これにより「カップラーメンの消費量とCovid-19の感染率には相関関係がない」との結論を導ける。
つまりカップラーメンをどれだけ食べても(あるいは食べる個数を減らしても)、Covid-19の感染予防に効果はないが、一方で感染リスクを高めることもない。この結論は一般常識とも整合する。

政府統計は、かなり細かく計測したデータを公開したデータベースだ。たとえば「2020年1月の日本人のシティホテル延べ宿泊数の県民別人数」のような粒度のデータを公開している。
カップラーメンと同様の方法で「2020年1月の日本人シティホテル延べ宿泊数」と感染率の相関係数を表計算アプリが計算すると+0.73となる。
この相関係数値と表 5‑3から「2020年1月の日本人シティホテル延べ宿泊数とCovid-19の感染率には正の相関関係がある」との結論を導ける。

上述の方法で様々な計測データと感染率を突き合わせると、次が期待できる。

政府や自治体が提唱する感染抑止策と関連しそうな項目の相関係数が分かり、効果の大きさを統計的に評価できる

巷間で噂される感染予防策と関連しそうな項目があれば、予防策の効果の程度が分かり、噂の信憑性を統計的に評価できる

これまでに挙がってない行動様式や消費性向と感染率との相関係数が分かり、危ない(あるいは安全な)行動・消費が分かる


矢野和男『データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(2014, 草思社)には、ホームセンタの売り場で従業員がある商品の棚から遠く離れた特定の場所に滞在する時間を増やすと、不思議にその商品の売上が向上した実験事例が記載されている。商品棚と従業員の滞在場所はかなり離れていて、従業員の滞在時間の変更と商品売上向上の相関関係を言葉では適切に説明できないとのことだ。人間の予断を排して計算機が愚直にデータ処理すると、人間の感度では思いつかない相関関係が見出せる例であろう。感染率抑止にも同様のケースがあるかもしれない。
そこで、思いもよらない行動様式や消費傾向が感染率に影響を与えるケースを想定して、計算機には無駄に計算してもらうことを承知の上で、なるべく雑多なデータ項目を感染率と突き合わせる
その結果、リスキーな行動様式、感染を抑制する食品・飲料などの候補を、県の感染率の差を根拠として抽出できるだろう。

データの分析手順

本稿では公開されている数値データを使って客観的に実態を把握した上で、感染率を高めた要因を筆者の知見に基づいて主観的に分析する。

感染率の影響分析フロー図
図 5‑1 行動様式・消費傾向が感染へもたらす影響を分析する処理の流れ

厚生労働省のCovid-19感染数データと、前述の各情報源サイトから1272項目の県単位データを取得する。そして感染率と各データ項目の相関係数を計算機(の表計算アプリ)に突き合わせ計算してもらう。
なお、県単位データの分布次第で、計算結果の相関係数値の信頼性が低いケースがある。そこで、抽出した相関係数値の統計上の信頼性を確保するため、「検定」と呼ばれる統計技法を有意確率5%(相関係数の信頼性が95%以上あるとされる。統計処理の現場では有意確率を5%に設定することが定石らしいので、それに従う)で適用し、検定不合格のデータ項目は低信頼と判定して機械的に除外する。

このように算出した相関係数が強い項目が示す行動様式や消費傾向は、感染率の高さ/低さに影響を与える可能性を持つ。つまり1272種類の行動・消費などのデータから計算機が各項目と感染率との相関係数を出力して「避けるべき行動・消費」「有効な行動・消費」「適度な対策が求められる施設・設備などのインフラ」といった候補が残る。実際に計算機に算出してもらうと1257項目の候補が残る。ここまで計算機が絞り込んだデータを本稿では「計測項目」と命名する。
ここまでの絞り込みは計算機任せで、本当は感染率とは無関係な項目も計算機が誤って抽出するリスクがある。最終段で人間(筆者の知見)が判断して絞り込みを進め、「避けるべき行動・消費」「有効な行動・消費」「適度な対策が求められる施設・設備などのインフラ」などを整理して行く。
なお人間が判断する分析を始めるに先立ち、各計測項目のデータの性質を類型化して、表 5‑4の「分析範疇」に分類しておく。

  表 5‑4 計測項目の計測分類

分析範疇

計測項目の一部

有効項目数

生活スタイル

睡眠の平均時間、健康食品消費量、新聞購読料、浮気率 等

  220

食生活

豆腐消費量、食塩量、清酒飲量、外食額、昆布佃煮消費量 等

  181

個人資産

銀行預金残高、借家率、自動車保有台数、住宅地価格 等

   46

観光

県民別宿泊者数、国別外国人宿泊者数、貸切バス輸送量 等

  103

産業状況

有業者数、最低賃金、求職者数、乗合バス輸送量 等

  137

公共インフラ

公園数、ごみ処理量、県の歳入決算総額、上水道給水人口 等

   60

商業インフラ

大規模小売店舗数、コンビニ店舗数、商業従事者数 等

   19

医療インフラ

外来患者数、病床数、看護師数、受診・療養平均時間 等

   60

介護インフラ

有料老人ホーム数、養護老人ホーム従事者数、民生委員数 等

   22

教育環境

小学校生徒数、学校当たり教員数、通学時間、大学卒業者数 等

   84

社会状況

児童相談所受付件数、刑法犯認知件数、身障者手帳交付数 等

   33

人口構成

年代別人口、年代別離別数、父子世帯数、原因別死亡者数 等

  268

自然・生活環境

平均湿度、日照時間、感染症発生率、公害苦情件数 等

   24

1,257


計測項目を上表の分析範疇に分類した上で、次のように分析作業を進める。

Step

作業名

作業内容

作業目的

記載章

ノイズ除去

明らかに無意味な項目が誤って混入していれば除外する

計算機が自動的に下す判定の限界を、筆者の知見で補正して判定品質を高めるため

8.2:全国分析

8.3:A群分析

8.4:B-C群分析

情報集約

複数の計測項目が意味的に同質の相関を示すと見られる場合は、一つの意味に集約する

データの意味理解機能を持たない計算機の限界を、筆者の抽象化思考で補正して情報量を圧縮するため

原因考察

抽出した計測項目が感染率に影響を与えた理由(メカニズム)を筆者の視点で考察する

数値で表現した判定結果の意味を解釈し、自然言語(日本語)に翻案して説明品質を高めるため

要約

分析単位(7章参照)・分析範疇を俯瞰して、感染率に影響を与えたメカニズムや対応策・政策の有効性を筆者の視点でまとめる

膨大になる分析結果を要約して、読者へ本稿の要旨をへ伝えるため

7章

感染に影響する特性(行動様式・消費傾向)ランキング

分析対象群の分別

分析対象県数が多いほど分析精度が高いとは限らず、県が持つ性質で分別することで、潜在的な感染要因が顕在化することがある。
そこで分析対象県の分別方法を検討するため、全国平均を中心(赤点線・青点線の交点)とする座標系を4象限に分けて、人口集中度と感染率の相関図(図 3‑2)見直す。グラフの各象限に入る県は表 6‑1の意味を持つ。

人口集中度-感染率の相関図
図 6‑1 人口集中度と感染率の相関図を4象限に分けて見る

  表 6‑1 グラフの各象限に位置する意味

象限

赤と青の点線の交点を原点としたグラフの領域

象限内に相関係数の座標が入る県の意味合い

第1象限

右上側

人口集中度・感染率とも平均を上回る県

第2象限

右下側

人口集中度が高いものの、感染率は平均を下回る県

第3象限

左下側

人口集中度・感染率とも平均を下回る県

第4象限

左上側

人口集中度は平均を下回るが感染率が高い県


もし人口集中度と感染率にもっと強い相関があったら(図 3‑5 相関度の強さが異なる相関図の対比 の右側の相関図)、ほとんどの県の座標が相関関係の傾きを示した斜め線の近傍に位置し、大半の県が第1象限または第3象限に入る。
しかし現実は、このグラフの斜め線の近傍から離れた県がいくつか存在している。特にグラフの第2象限と第4象限に位置する県は、全国標準の「人口集中度と感染率の関係」と感染実勢が乖離している(表 6‑2)。

  表 6‑2 標準的な人口集中度と感染率の相関関係と感染実勢が乖離している県

場所

標準的な「人口集中度と感染率の関係」と乖離している内容

該当県

第2象限

人口が都市部に集中しているにも関わらず、感染の深刻度が低い

愛知

第4象限

人口が県全域に分散しているにも関わらず、感染の深刻度が高い

石川、富山、福井

離れ点

相関係数を表す斜め線から極端に離れている

東京

※『東京』を示す離れ点は、感染には人口集中度だけでは説明できない特有の要因があることを示唆する。

表 6‑2の県の特徴を抽出できれば、感染抑止に効果的な(逆にリスクが高い)行動様式や考慮事項が見えてくると期待できるだろう。
そこで、標準から外れた例外的な関係を見せている県(東京、石川、富山、福井、愛知)を軸に、人口集中度-感染率のグラフの各県の点の「位置」に基づいて、同質の傾向を持つグループ(群)に分別する(図 6‑2 分析対象群の分別図)。

分析対象群の分別図
図 6‑2 分析対象群の分別図

各県の点の位置を基に、次の4群に分別した。

  表 6‑3 分析対象群の定義

分析対象群名

特徴

群を構成する県
赤字は標準から外れた例外的な相関関係を見せている県

感染率

人口集中度

[A]人口集中度高

不問

全国平均より高い

東京、大阪、北海道、神奈川、千葉、京都、埼玉、福岡、兵庫、愛知

[B]人口分散&高感染率

感染が深刻

県全域に分散傾向

石川富山福井、高知

[C]人口平均&低感染率

感染が少ない

全国平均付近

沖縄、奈良、広島、宮城、静岡

[D]人口分散&低感染率

感染が少ない

県全域に分散傾向

グループ[A][B][C]以外の県


本分析では、表 6‑3で定義した分析対象群を組み合わせ、表 6‑4の単位で分析する。

  表 6‑4 分析単位の定義

分析単位名

分析対象群

分析対象群の特徴

県数

分析の狙い

全国分析

[A][B][C][D]

日本全体(全都道府県)

47

日本全体の傾向を見るとともに、全国に共通して感染を拡大・抑止する要因を探る

A群分析

[A]

人口集中度が高い県群

10

人口集中度が全国平均より高い県同士の分析で、都市部で感染を拡大・抑止する要因を探る

B-C群分析

[B][C]

人口集中度が低いほど感染率が高い県群

 9

正反対の傾向を持つ群を結合して分析することで、人口集中度が全国平均を下回る地域で感染を拡大・抑止する要因を探る

分析で顕在化した感染率と相関する項目ランキング

「全国分析」「A群分析」「B-C群分析」の各分析で現れた感染率と相関する項目を整理する。図 6‑3に分析名ごとに、分析範疇の相関度の順位を並べて掲載する。

分析対象群ごとの分析範疇の影響順位表
図 6‑3 分析対象群ごとの分析範疇の影響順位表

全国分析では感染率との「相関強」となる計測項目は出現しない。全国分析ではD群(感染が少なく、人口も県全域に分散する)の28県が及ぼす影響が相関関係を埋没させ、感染率に相関を持つ特徴を視える化できない。
分析対象をA群(人口集中度が高く、感染率が高い)の県に絞り込むと「相関強」が現れ、感染率に影響する特徴が見えてくる。

A群では人口集中度の高さを基盤として、観光地および産業振興地としての特性が感染を拡大した。しかし、A群の分析からは、感染率を上げる原因となった具体的な生活スタイルや社会状況は見えてこない。
そこでB-C群(人口集中度が低いほど感染率が高い)の県で分析すると、全国分析・A群分析で1・2位の「観光」「産業状況」の影響力が相対的に弱まって(図 6‑3の青色矢印)、代わって「生活スタイル」「社会状況」「食生活」「自然・生活環境」といった生活に密着した分析範疇の計測項目が浮かび上がってくる(図 6‑3の緑色矢印)。
また、全国・A群・B-C群での分析に共通して上位に来る「人口構成」は、分析対象に関わらず影響が大きい(図 6‑3の橙色矢印)。

B-C群で顕在化した計測項目の中に、感染対策として効果的な(またはリスクが高い)行動様式や考慮事項のヒントがあるだろう。
表 6‑5 にB-C群の分析で抽出した計測項目のランキング(相関係数の絶対値が0.7以上)を示す。

  表 6‑5 B-C群の分析で浮かび上がる計測項目ランキング

強度

相関係数

分析範疇

第1波で感染率と相関が高い内容

備考

+0.92

+0.90

生活スタイル

温泉・銭湯が感染場となった

 

+0.90

医療インフラ

病床が多い病院ほど感染率が高い

大規模病院内感染

+0.90

+0.89

公共インフラ

高齢者学級・講座、博物館、運動公園、社会体育施設が感染場となった

 

+0.87

生活スタイル

理髪店が感染場となった

 

-0.85

食生活

豆腐の消費量が少ないほど感染率が高い

 

+0.82

社会状況

医療保護施設以外の保護施設在所者が多いほど感染率が高い

 

+0.82

教育環境

生徒数が多い各種学校(予備校・料理校・外語校等)ほど感染率が高い

一斉休校対象外

+0.82

自然・生活環境

年間降水日数が多いほど感染率が高い

紫外線量不足?

-0.81

-0.78

人口構成

80歳以上で配偶者がいない女性ほど感染率が高い

 

-0.80

食生活

野生動物の生鮮肉の消費が少ないほど感染率が高い

ジビエ肉料理?

+0.80

+0.72

人口構成

Covid-19への抵抗力・体力を維持する年齢の分水嶺が80~85歳にある

85歳上は感染低下

-0.80

-0.70

教育環境

幼稚園児が少ないほど感染率が高い。

一斉休校の効果

-0.79

-0.76

人口構成

死産や乳児死亡が少ないほど感染率が高い。

 

+0.79

+0.72

公共インフラ

女性学級・講座、成人学級・講座、公民館、水泳プールが感染場となった

 

+0.77

自然・生活環境

ばい煙発生施設数が多いほど感染率が高い

 

+0.76

食生活

酒類の消費量が多いほど感染率が高い

酒豪型遺伝子

+0.76

+0.71

介護インフラ

軽費老人ホーム、介護老人福祉施設、老人福祉センターが感染場となった

施設内感染

-0.74

生活スタイル

書籍購入時のネット利用率が低いほど感染率が高い

街中の書店で購入

-0.74

社会状況

知的障害者療育手帳交付数が少ないほど感染率が高い

 

-0.74

-0.72

食生活

玉葱・にんじんの消費量が少ないほど感染率が高い

 

+0.71

公共インフラ

ごみ総排出量が多いほど感染率が高い

ごみ捨て場感染?

+0.71

人口構成

共働き世帯数が多いほど感染率が高い

 

相関関係に基づく分析結果の要約

相関係数に基づく考察で得られた分析結果の要点を表形式にまとめる。
本章は「8.2 全国分析」「8.3 A群(人口集中度が高く、感染率が高い県群)分析」「8.4 B-C群(人口集中度が低いほど感染率が高い県群)分析」の分析結果のうち、相関が強い(相関係数の絶対値>0.8)計測項目と、相関がある計測項目の上位(相関係数の絶対値>概ね0.7)を取り上げ、感染抑止に効果的な(逆にリスクが高い)行動様式や考慮事項の視点と政策の有効性評価の視点で集約し、表形式で表現したサマリーである。詳細な分析内容は8.2以降を参照いただきたい。

行動様式・生活に関する分析

項目

分析内容

感染率と相関を持つ食べ物

消費量と感染率が相関する食べ物がある。全国分析では相関が強く出ないが、B-C群の県の分析で相関が現れる。

感染を抑止したように見える食べ物

表 7‑1 感染を抑止したように見える食べ物

どの食べ物もB-C群分析で相関関係を示した。「マヨネーズ」を除く全ての食べ物に負の相関があり、消費量が少ないほど感染率が高いことを示す。つまり感染予防効果がある食べ物かもしれない。
上表の食べ物は全国分析・A群分析・B-C群分析で相関の正負が反転し、信頼性に不安が残る。この中で一貫して負の相関を示す食べ物が「豆腐」だ。「豆腐」を平均で週一丁食べる『三重』の感染率は全国37位と低い。
上表の食べ物は、その継続的な摂取がCovid-19検出力を短期間に獲得するように肉体を醸成する(漢方薬的効能)か、一時的な摂取がCovid-19の抗体製造を促進する(ワクチン的効能)か不明だが、背景にCovid-19感染率に影響するメカニズムが存在する可能性がある。

項目

分析内容

高価な酒の消費量が多いと感染しやすい

酒類の消費量と感染率には正の相関がある。

酒種

全県分析

A群分析

B-C群分析

ウイスキー

 

強(0.96)

 

酒類全般

 

強(0.92)

 

果実酒

 

強(0.92)

 

ビール

有(0.67)

強(0.87)

 

リキュール

 

有(0.80)

 

合成清酒

 

有(0.75)

 

甘味果実酒

 

有(0.72)

 

清酒

 

有(0.71)

有(0.76)

A群分析ではウイスキーなどの高価な酒の消費量と感染率の相関が最も強い。接待を伴う飲食店での飲酒と仮定すると、「接待を伴う飲食店でクラスター発生」等の報道と整合する。

酒に弱い人が感染する傾向がある

(日本では)酒に弱い人が多いほど感染率が高い。
酒の強さ/弱さは、アルコール摂取時に体内に生み出される毒性物質で、呼吸器系の癌リスクを高めると疑われている「アセトアルデヒド」の分解能力で決まる。

分類

強さ/弱さのメカニズム

酒に弱い

アセトアルデヒドを分解する所要時間が長く、アセトアルデヒドが体内に滞留しやすい

酒に強い

アセトアルデヒドを分解する所要時間が短く、アセトアルデヒドが体内に滞留しにくい

酒豪型遺伝子は、アセトアルデヒドを短時間に分解する酒に強い体質を遺伝させ、酒の強さを遺伝的に決める。日本人の42%が酒豪型遺伝子を持たない。
だとすると、アセトアルデヒドが感染抑止を阻害する可能性がある。酒豪型遺伝子を持たない人ほど感染しやすいと仮定すると、感染者が潜在する飲み会に参加したとき、感染しやすい人・感染しにくい人に分かれる。飲み会の参加者で感染の有無が分かれる理由のひとつは、酒の強さと関係するのかもしれない。
なお酒豪型遺伝子を持たない(または少ない)人は、『中国』を中心とする東アジアの稲作地帯に分布する局所的な突然変異らしく、それ以外の地域・国で酒豪型遺伝子を突然変異させた人は、ほぼない。これは世界中で感染が拡大している事実と矛盾する。この点を考慮に入れると、酒豪型遺伝子の背景か周辺にCovid-19の感染に関係するメカニズムが潜在する可能性がある。

項目

分析内容

一斉休校政策の対象外の学校

一斉休校政策の対象外だった各種学校の生徒数と感染率に強い正の相関がある。
各種学校とは、予備校・服飾学校・料理学校・看護学校・珠算学校・外語学院・インターナショナルスクール・自動車教習所・神学校など。
人気があって生徒数が多い各種学校は、感染源となったと見られる。

公衆が集まる場所

「温泉・銭湯」は強い正の相関がある。相関度は少し下がるが「理髪店」「書店」も正の相関がある。人が集まる場所が感染源になったことを示唆している。

公共の場所

「高齢者学級・講座」「博物館」「運動公園」「社会体育施設」などの施設や開催場と感染率に強い正の相関がある。これら公共の場所が感染源となったことを強く示唆している。
相関度は少し下がるが「女性学級・講座」「成人一般学級・講座」「公民館」「水泳プール」「図書館」「青少年教育施設」などの施設や開催場が、感染源となったことを示唆している。

項目

分析内容

女性であることの感染リスク

B-C群の県では、65歳以上の女性と感染率に正の相関がある。
特に80歳以上で配偶者がいない女性と感染率に強い正の相関がある。60歳代、70歳代で配偶者と死別している女性と感染率にも(80歳以上でほどではないが)正の相関がある。
感染率と正の相関がある高齢女性の共通特性は、配偶者と死・離別していること。女性が世話焼きする配偶者を失うと、自身の感染抑止の動機を持ち続けるのが難しいのかもしれない。
また年代に関わらず、感染率との相関が高いのは女性だ。女性の方が男性より感染しやすいと見られる。その原因が体質的な問題か、行動・消費性向に依るものかは不明。

未婚の高齢女性は例外的に感染しにくい

B-C群の県では、高齢の未婚女性が多いほど感染率が低い。上述の離・死別した高齢女性は感染率が高いことと反対の傾向を示す。
未婚を通している女性は人生の途中で配偶者の喪失というイベントがないため、感染抑止の動機を維持しやすいのかもしれない。

中高年以上の未婚者の感染リスク

A群の県では、B-C群の県と違って中高年以上の未婚者は男女とも感染率が高い。
「自分の健康のために」という動機だけでは感染リスク回避行動の維持が難しそうだ。A群の県の方が多様な産業が振興しているという地域特性も未婚者の行動に影響を与えているかもしれない。
都市部での高齢者の独居の場合、周囲との交流が少ないと、感染対策行動情報が届きにくいケースがあるとみられる。民生委員が少ないと感染率をやや高めている。このケースだと周囲のサポートの効果は確実にある。

抵抗力・体力を維持する年齢の分水嶺が80~85歳

B-C群の県では、80歳以上の男性で配偶者がいる方が感染しやすい。特に80~84歳の男性で相関が強い。80歳以上の男性は妻の世話焼き効果が出なく(妻の言うことを聞かなく)なるように見える。
この年齢帯には男性の平均寿命があり、平均的男性は体力が弱まっているのかもしれない。この年齢帯を通過する人は平均以上の体力があり、85歳以上では感染率との相関が少し弱まる。
Covid-19への抵抗力・体力を維持する年齢の分水嶺が80~85歳にあると見られる。

項目

分析内容

家族内感染のリスク

全国的に、一般世帯人員が多いほど感染率が高い。世帯内感染が多いことを示唆している。
若年層ほど症状が現れにくいとされるので、家庭外で感染した世代が共用する玄関のドアノブ経由などで、気づかぬうちに親世代に感染させているケースはありそうだ。

共働き家庭のリスク

B-C群の県では、共働き世帯が多いほど感染率が高い。夫婦とも家族以外との接触の機会が増えるので、当然感染リスクを高める。
一方、A群の県では、共働き世帯・三世代世帯・戸当たりの人口が少ないほど感染率が高い。A群の県では、家庭内感染を抑止しようとする意識が強く働き、感染率を下げたと見られる。

高齢者夫婦世帯のリスク

B-C群の県では、単独・核家族・三世代以外の世帯と感染率に正の相関がある。
単独・核家族・三世代以外の世帯の主流は高齢者夫婦の世帯だろう。つまり高齢者夫婦の世帯で感染リスクが高い。

項目

分析内容

院内感染は病院内だけではなさそうだ

B-C群分析では、外来患者・入院患者・病床の多さと感染率に正の相関がある。入院者数が多い大型病院ほど院内感染が発生しやすいことを示唆する。
一般に組織規模が大きいほど情報浸透の難度が高いことから、スタッフや見舞客が多い大型病院は、院内感染の注意喚起やルール徹底の浸透に時間を要するケースがあるのかもしれない。
B-C群分析では、医薬分業が浸透している地域ほど感染率が高い。無症状の感染者が院外処方する薬局にもウィルスが滞留するリスクがある。患者が病院と薬局の両方を訪れることは感染リスクを倍加する。
A群分析では歯科診療所数と感染率に強い正の相関がある。歯科診療所も感染源になることを示唆している。

医師・看護師の数は感染率と相関なし

医師・看護師の人員体制の余裕状況と感染率には相関関係がない。余裕人員が少ない医療現場でも、現場担当者の献身的(状況によっては超人的)運用でサービス品質を確保した様子がうかがわれる。

政策の有効性分析

項目

分析内容

学校一斉休校政策は感染率を低下させる効果があった

10代の人口比率が低いほど感染率が高い(人口比率が高いほど感染率が低い)。
10代は小学校4年生から始まる。つまり、学校を2月28日から全国一斉臨時休業とした政策の有効性を示唆している。休業の受入現場である保護者や学校の負担は大きかったが、その効果も大きい。相関の強さから、発令された政策の遵守意識の高さがうかがわれる。当事者の少年・少女たちの行動制御能力は侮れない。
この相関は、全国分析では現れなかったが、A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)に限定すると顕在化する。これは、学校一斉休業政策の適用範囲が人口集中度の高い地域に限定可能なことを示している。
また、B-C群の県(人口集中度が低いほど感染率が高い)では幼稚園児が多いほど感染率が低い。このデータも学校と併せて幼稚園を2月28日から全国一斉臨時休業とした政策の有効性を示唆している。
さらに、「表 7‑3 感染率を高めた場所」の考察で「一斉休校政策の対象外だった各種学校」で生徒数が多いほど感染率が高かった。このデータも学校を全国一斉臨時休業とした政策の有効性を示唆している。

『リモート・スクール・システム』開発の必要性

一斉休校は効果が出た政策なので、第2波・第3波の際に再発令される可能性が高い。将来、新種ウィルスによるパンデミックが発生すれば発令されるだろう。
学校休業時の代替手段とする『リモート・スクール・システム』開発(既存システムへの機能追加レベルの一時しのぎではなく、通信経路網の高速化まで視野に入れた新規システム開発)は、国家予算・地方予算を重点配分する投資対効果が大きい事業となるだろう。

項目

分析内容

マスク配付、10万円給付政策は切実な人へは間に合わなかった

B-C群の県では、医療保護施設以外の保護施設の定員数・在所者数と感染率に強い正の相関がある。
医療保護施設以外の保護施設とは、生活保護を実施するために設置される福祉施設(「救護施設」「更生施設」「授産施設」「宿所提供施設」)で、計測対象とした2017年は定員数・在所者数とも全国で19,000人程度だった。
また食糧費が少ない世帯、平均食事時間が短い無業の女性(もしかすると食事に事欠いている?)の感染率も高い。報道によればアメリカ合衆国では貧困層で感染率・死亡率が高いという。
つまり日米に共通して、貧困と感染率には強い正の相関がある。
貧困の故に、医療サービスを受けにくい、感染防具(マスク類)を調達しにくい、栄養不十分で身体の抵抗力が弱い、等の障害が生じているのかもしれない。
全戸へのマスク一律配付、全世帯員への特別定額給付金(10万円)の一律給付という「緊急性より公平性を優先する価値観」の政策は、切実に支援を必要とする方へは間に合わず、貧困層の感染拡大を抑止できなかった。
この考察が妥当なら、特別定額給付政策は初案の「低所得世帯への30万円給付」を即時に遂行した方が政策効果は高かっただろう。データは立法府の失政を示唆しているように見える。

その他のデータ分析

項目

分析内容

女性の外出

女性の在宅傾向を暗示する複数の計測項目と感染率が負の相関を持つ(注:なぜか男性の外出と感染率は相関を示さない)。性差別感があって恐縮だが、女性の外出時間の増加(在宅時間の低下)が感染率を高めているとデータは示している。

学校等の一斉休校政策

「表 7‑7 学校一斉休校政策の効果分析」での分析のように、学校等の一斉休校政策は感染率を低下させる効果があった。

通勤・通学のリスク

郊外あるいは県外からの都市部への通勤者・通学者が多い地域ほど感染率が高い。人の移動がCivid-19感染のリスクを増すことを示唆している。

共働きのリスク

共働き世帯数と感染率に正の相関がある。夫婦とも家庭外での接触の機会が増えるので、当然感染リスクを高める。

携帯電話・スマホ利用者のリスク

移動電話通信料や携帯電話契約数が多いほど感染率が高い。B-C群の県では移動電話通信料と感染率の正の相関が全国分析より強い。
携帯電話は普及が進んだ結果、利用者を特定しにくく、携帯電話利用量の多さが感染率に影響するメカニズムは判然としない。ただし、携帯電話の主要な利用シーンが外出先と仮定すると、在宅率を裏返したバロメータと見做せる。つまり外出の多さが感染率を上げるのだろう。

まとめ

上記各項目は、間接的な指標ではあるが外出を控えることの効果を示すように見える。だとすると業務のテレワーク化や顧客との対面機会の低減などで、接触機会の削減を常態化する組織的な努力が感染リスクを下げる。
経営者が将来展望を持つタイプの企業は、将来に発生が予想される新たなパンデミックを企業経営のリスク要因に織り込んで、接触機会の削減を常態化する事業継続計画に修正する可能性が高い。この結果、都心部のオフィス需要・昼間人口が次第に減少し、長期的には不動産相場の下落という副作用を伴うだろう。この予測が現実になると、不動産業・交通産業・都心部の飲食業などは影響を受ける。

項目

分析内容

年間降水日数と日照時間の影響

B-C群の県では、年間降水日数と感染率に強い正の相関がある。第1波の感染拡大時期は冬季から早春なので、日本海側の県は降雪日数も含む。つまり降水または降雪で日照時間が短いほど感染率が高い。
また、A群の県のうち太平洋岸の『東京』『神奈川』『愛知』『大阪』に限定すると、日照時間が短いほど感染率が高い。
これらを総合すると、日照時間が長いほど感染率が低い。日照(紫外線か?)がCovid-19の感染抑止に効果を持つ可能性がある。

観光業の課題と対策

項目

分析内容

ホテルで感染が拡がった可能性がある

シティホテル・ビジネスホテルの宿泊客が多い県で感染率が高い。ホテルは県外・海外からの宿泊客を幅広く受け容れるため、Covid-19に感染しやすい場と考えられる。
1月に『東京』(人口当たりの感染率が全国1位)に宿泊した他県民ランキング上位は以下。

順位

感染率順位

1月の宿泊者数

大阪

 4

36,805

愛知

21

26,590

神奈川

 7

23,948

福岡

11

20,596

1月に『北海道』(人口当たりの感染率が全国7位)に宿泊した他県民ランキング上位は以下。

順位

感染率順位

1月の宿泊者数

東京

 1

72,917

兵庫

12

16,317

神奈川

 7

15,250

大阪

 4

12,308

1月に『大阪』(人口当たりの感染率が全国4位)に宿泊した他県民ランキング上位は以下。

順位

感染率順位

1月の宿泊者数

東京

 1

70,111

神奈川

 7

21,552

兵庫

12

20,505

感染率上位の県は相互に県民の宿泊者数が多く、各他県民が宿泊したホテルで感染を相互に拡げた可能性がある。

地方からの受験生を介した感染

大学等の高等教育機関への進学率が高い(高卒就職者数が少ない)ほど感染率が高い。
大学受験時期と感染拡大時期が重なった影響と見られる。大学の所在地は首都圏に偏在しているため、地方から受験で首都圏へ移動した受験生が宿泊したホテルでCovid-19に感染し、地元へ持ち帰った可能性を示唆する。

北陸地方への感染経路

『富山』は人口当たりの感染率が全国3位。1月の富山県民の県外宿泊先は以下で、この4県には、それぞれ延べ2千人以上の富山県民が宿泊した。

順位

感染率順位

1月の宿泊者数

石川

 2

5,351

東京

 1

4,202

千葉

 8

3,688

大阪

 4

2,178

『富山』より感染率上位の『東京』で宿泊した富山県民が地元へCovid-19を持ち帰り、県内で感染拡大後に、他県で宿泊した方がウィルスキャリアとなった可能性がある。B-C群の県の分析では、富山県民延べ宿泊数が多い県ほど感染率が高い。
また、東京都民の宿泊者が多い県ほど感染率が高いことも、都内で感染拡大後にウィルスキャリアとなって他県へ宿泊したと考えるのが自然だろう。
無症状者や軽症者が1月の早い時期に都内のシティホテル・ビジネスホテルで感染拡大したと仮定すると、このシナリオは成り立つ。

海外からのCovid-19の流入・流出経路

全都道府県の分析では、『中国』『タイ』『香港』『台湾』『韓国』人宿泊者比率が高い県で感染率が高かった。A群の県に限定すると、『香港』『台湾』人宿泊者比率が高い県に絞られる。

第1号感染者の発生報告日

1月の総宿泊者数

中国(香港を含む)

12月31日

3,088,990

日本

 1月15日

43,156,920

台湾

 1月21日

473,850

各国の第1号感染者の発生報告日が、上表の順であることから、『香港』からの来訪者が『日本』へCovid-19を持ち込み、『台湾』からの来訪者が自国へ持ち帰った可能性を示唆している。
また海外からの来訪者の宿泊数上位国の第1号感染者の発生報告日と、宿泊者数は以下。

第1号感染者の発生報告日

1月の総宿泊者数

タイ

 1月13日

347,200

日本

 1月15日

43,156,920

シンガポール

 1月24日

175,430

マレーシア

 1月25日

127,420

フランス

 1月25日

54,660

アメリカ

 1月25日

473,850

カナダ

 1月26日

71,150

ドイツ

 1月28日

46,730

イタリア

 1月31日

40,600

スペイン

 2月  1日

26,540

イギリス

 2月  1日

91,340

ロシア

 2月  1日

36,070

オーストラリア

 2月26日

410,640

インドネシア

 3月  2日

153,100

この順から、各国からの来訪者が『日本』で感染し自国へ持ち帰った可能性を示唆している。
ただし『タイ』と『日本』の第1号感染者の発生日は2日のズレしかないため、『日本』で感染したタイ人が自国帰国後に感染を拡大した可能性もある。
また表の下部にある『オーストラリア』『インドネシア』は、第1号感染者の発生が『日本』滞在から1か月近く間隔が空く。Covid-19の潜伏期間(1~2週間との見方が有力なようだ)を考えると、1月に『日本』に滞在した両国人が自国へ持ち帰った可能性はない。
だが両国を合わせた1月の総宿泊者数が56万人強にも関わらず、ウィルスを自国へ持ち帰ってないと考えるのは、むしろ不自然に感じる。しかし入手した両国の第1号感染者の発生日データは、1月の「日本」滞在者には感染が発生しなかったことを示している。

まとめ

以上から、各地・各国のシティホテル・ビジネスホテル宿泊客が日本各地および母国へCovid-19を拡散したことを相関係数は示唆する。
観光地として海外から人気を得た日本は、Covid-19の感染拡大拠点(第二の感染源)ともなった。A群の県のうち1月に外国人宿泊者が多かった上位県へCovid-19が流入し、そこから海外への流出が起きた可能性は高い。

順位

1月の外国人宿泊者数

東京

2,372,680

大阪

1,495,120

北海道

1,084,360

京都

891,520

観光立国を国家戦略に含めるなら、今後は感染拡大拠点に陥らないように本質的な対策が必要だ。パンデミックが落ち着いたときに人気ある観光地の地位を維持できるかは、対策の品質(すなわち『安心』に観光・宿泊できる場所だと観光客が信頼できるか)が左右するだろう。

項目

分析内容

5万人もいた岩手県民の旅行者は感染ゼロ

岩手県民の観光は、1月の延べ宿泊者数が52,904人と全国22位(つまり全県の中位に位置する)で、他県民と遜色ない。しかし感染者数はゼロ。
岩手県民の1月の宿泊先上位県は、①岩手(44%) ②千葉(18%) ③東京(9%)。自県内に次いで多い『千葉』での宿泊理由の多くが、新東京国際空港(成田)からの海外渡航の前後泊と仮定すると出入国者数も少なくないだろう。観光の状況データからは『岩手』に感染が起きても不思議はない。しかし、現実に感染が起きなかった事実は「感染を抑止する安全な旅行の知恵」の存在を示唆するのかもしれない。
もし安全な旅行の知恵が得られれば、地方の観光産業復興を企図する観光需要喚起政策を実施してもCovid-19のバラまきリスクは下がる。1月に岩手県外へ旅行された岩手県民の方々が安全な旅行の知恵やノウハウをお持ちなら、公開いただけると旅行者も宿泊先も安心感を高めるだろう。

宿泊先が実行できる対策案

「表 7‑11 相関係数の強さで推定する感染経路」ではシティホテル・ビジネスホテルが感染場となった可能性を分析した。その分析が妥当なら、ホテルは安心して泊まれる宿泊施設という信頼感が揺らいでいる。
ただしホテルは、宿泊者がチェックイン時に記帳する「宿帳」という強力なデータベースを持つはずだ。2020年1月に宿泊した感染率が低い/高い県の宿泊客は、ともに「リスクが高い/低い 宿泊中の行動」という貴重なデータを持つ「黄金の情報源」になり得る。
該当する宿泊客から上手く情報収集できるなら、当該ホテルに特有のリスク(例:エレベータの3号機利用者に感染が多発、レストランの窓際の席で感染が多発、早朝の露天風呂利用者は感染してない)を特定できる可能性がある。宿泊客から収集したリアルなデータに基づいて、納得感があるリスク回避策や知恵を感じさせる対策を打ったホテルは、『安心』というサービスを付加価値としてアピールでき、差別化もできるだろう。

分析結果の詳細解説

分析結果の表現方法

本稿は計測項目と感染率の相関関係を分析する。47都道府県の相関関係を相関図で表現できることは「3.4人口集中度と感染率の関係」で説明した通り。

相関を調べる2項目の対応表(左側)があれば相関図(右側)を作成できる
図 8‑1 相関を調べる2項目の対応表(左側)があれば相関図(右側)を作成できる

本分析の目的は、感染率との関係が深い計測項目を調べることなので、原理的には、図 8‑1の右側のグラフを計測項目ごと(横軸を人口集中度以外のデータ項目に変更)に作成して相関度を比較することになる。
相関図は、各県の立ち位置や、大まかな全国傾向を視える化するが、計測項目と感染率の県横断の相関の強さを定量的には読み取りにくい。図 8‑1に記載の事例では相関係数は「0.13」になるが、右側の相関図から相関係数値は読み取れない。グラフは人間の視覚には訴えるが、並べたグラフから相関度が高い計測項目はどれか、の判別は容易とは限らない。本稿では計測項目が1200項目以上あり、この表現方法を採用すると同数の相関図が必要となって実用的でない。

測定の結果で関心があるのは、計測項目ごとの各県の立ち位置よりも、その計測項目が感染に影響を及ぼす全国的な傾向(相関度)だ。相関の強さ(あるいは弱さ)は、グラフを並べて視覚的な印象で比較するよりも、具体的な数値で表した方が比較しやすい。相関係数とは計測項目が感染率に影響を及ぼす程度を示す値で、図 8‑1の左の対応表があれば表計算アプリが相関係数を算出できる。そこで、相関関係の計算結果である「相関係数値」のみに着目し、以降は相関図を作成しない。
次章以降は、分析対象(全国・A群・B-C群)ごとに分析結果を「相関係数分布グラフ」と「分析結果表」で表す。

分析範疇ごとのデータ項目の相関係数の強さの分布度数を棒グラフ(統計用語では度数のグラフをヒストグラムと呼ぶ)で示す。これを「相関係数分布グラフ」と命名する。
計測項目が1200項目以上あるため、個々の計測項目ではなく、その上位グループである「分析範疇」(計13分類)単位で影響傾向を判定する。たとえば「分析範疇『医療インフラ』の計測項目群より、分析範疇『観光』の計測項目群の方が感染率に及ぼす影響が大きい」という粒度で影響の大きさを評価する。
ある分析範疇の影響の大きさは、含まれる計測項目に正(または負)の相関度が強い(相関係数の絶対値が大きい)項目の比率で決まる。相関係数分布グラフは、ある分析範疇に含まれる計測項目が示す相関係数値の分布状況を視える化する。

相関係数分布グラフは、棒の高さが該当する分布位置の計測項目度数(件数)を、分析範疇内の構成比率で示す。これは分析範疇ごとの計測項目の件数に差があるため、その分析範疇内での相関係数が分布するバランスが分かるように実件数ではなく構成比率で表す。

相関関係分布グラフの見方説明図
図 8‑2 相関関係分布グラフの見方

相関係数グラフの基本形は真ん中(横軸の「なし」の辺り)を頂点とする山の形状になる(図 8‑2)。
山が高いほど「相関なし」の計測項目の比率が高く、その分析範疇が感染率に及ぼす影響が小さいことを示す。
グラフの山がなだらかになる(山の左右のすそ野にある「相関強」相関有)の目盛の度数が高くなる)ほど分析範疇が感染率に及ぼす影響が大きいことを示す。
相関係数分布グラフを並べると、「相関強」「相関有」を多く持つ分析範疇/少ない分析範疇が分かる。

分析範疇ごとに分析結果表を設け、分析結果を記載する。
相関する項目を多く持つ分析範疇は「相関強」「相関有」の計測項目について内容を示し、感染率に影響を及ぼすメカニズムを考察して分析する。
また、巷間で効果が期待されていると見られる項目が「相関なし」「相関弱」に入る場合などは、その計測項目を記載する。

分析結果表の見方説明図
図 8‑3 分析結果表の見方

全県分析

47都道府県全体を対象に、全1257件の計測項目と感染率の相関係数分布グラフを示す。

全県分析-全体の相関係数分布グラフ

グラフ 8‑1 全県分析-全体の相関係数分布グラフ

グラフの山は正側(右側)がやや高く、正の相関を持つデータ項目の方が多い。正側・負側とも「強い相関」を持つ(相関係数の絶対値が0.8以上)はない。正の相関有(相関係数の絶対値が0.6以上0.8未満)が127項目、負の相関有が16項目ある。
以下、分析範疇ごとの相関係数分布グラフを示して、大まかな傾向を視える化する。グラフの山は正側(右側)がやや高く、正の相関を持つデータ項目の方が多い。正側・負側とも「強い相関」を持つ(相関係数の絶対値が0.8以上)はない。正の相関有(相関係数の絶対値が0.6以上0.8未満)が127項目、負の相関有が16項目ある。
以下、分析範疇ごとの相関係数分布グラフを示して、大まかな傾向を視える化する。

主に個人の行動に関する分析範疇群

全県分析-個人の行動に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8-2 全県分析-個人の行動に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

生活スタイル

0

0

219

2

0

食生活

0

0

182

1

0

個人資産

0

1

40

5

0

主に地域の産業振興状況に関する分析範疇群

全県分析-地域の産業振興状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑3 全県分析-地域の産業振興状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

観光

0

0

68

35

0

産業状況

0

5

104

29

0

主に地域のインフラ整備および利用状況に関する分析範疇群

全県分析-地域のインフラ整備および利用状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑4 全県分析-地域のインフラ整備および利用状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

公共インフラ

0

0

46

13

0

商業インフラ

0

0

16

3

0

医療インフラ

0

0

48

12

0

介護インフラ

0

0

23

0

0

主に地域社会の状況に関する分析範疇群

全県分析-地域社会の状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑5 全県分析-地域社会の状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

教育環境

0

0

67

16

0

社会状況

0

0

32

0

0

人口構成

0

10

247

11

0

自然・生活環境

0

0

24

0

0

上述の分析範疇で、正と負の「相関有」の合計項目が多い順のランキングを示す。

順序

分析範疇名

相関度の件数

観光

0

35

産業状況

0

34

人口構成

0

21

教育環境

0

16

公共インフラ

0

13

医療インフラ

0

12

個人資産

0

6

商業インフラ

0

3

生活スタイル

0

2

10

食生活

0

1

11

介護インフラ

0

0

11

社会状況

0

0

11

自然・生活環境

0

0

  表 8‑1 全県分析-分析範疇の影響力ランキング

上述の分析範疇で、正と負の「相関有」の計測項目が多い順に、分析範疇単位で感染率との関係メカニズムを考察して分析結果表に示す。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.73

日本人シティホテル延べ宿泊数

0.72

外国人シティホテル延べ宿泊数

0.72

その他外国人延べ宿泊数

0.72

マレーシア人延べ宿泊数

0.71

シンガポール人延べ宿泊数

0.71

インドネシア人延べ宿泊数

0.71

会社・団体の宿泊所のうち外国人延べ宿泊者数

0.69

外国人ビジネスホテル延べ宿泊数

0.69

日本人ビジネスホテル延べ宿泊数

0.69

日本人延べ宿泊者数

0.68

ホテル客室数

0.68

フィリピン人延べ宿泊数

0.68

カナダ人延べ宿泊数

0.67

富山県民延べ宿泊数

0.67

アメリカ人延べ宿泊数

0.67

オーストラリア人延べ宿泊数

0.67

イギリス人延べ宿泊数

0.67

中国人延べ宿泊数

0.67

タイ人延べ宿泊数

0.67

インド人延べ宿泊数

0.66

ドイツ人延べ宿泊数

0.66

フランス人延べ宿泊数

0.66

登録ホテル客室数

0.66

東京都民延べ宿泊数

0.65

香港人延べ宿泊数

0.65

ロシア人延べ宿泊数

0.64

一般旅券発行件数

0.64

台湾人延べ宿泊数

0.64

韓国人延べ宿泊数

0.64

スペイン人延べ宿泊数

0.63

イタリア人延べ宿泊数

0.62

石川県民延べ宿泊数

0.61

簡易宿所客室稼働率

0.60

貸切バス 延べ輸送量 人×距離

0.60

ビジネスホテル客室稼働率

特記する相関弱・なしの項目

[0.01]岩手県民延べ宿泊数

判定

日本人・外国人を問わず、延べ宿泊者数と感染率には正の相関がある。

考察

宿泊数データは、Covid-19の感染が始まった2020年1月のデータを利用した。

【+】ホテルで感染が拡がった可能性がある
シティホテル・ビジネスホテルの宿泊客が多い県で感染率が高い。ホテルは県外・海外からの宿泊客を幅広く受け容れるため、Covid-19に感染しやすい場と考えられる。
1月に『東京』(人口当たりの感染率が全国1位)に宿泊した他県民ランキング上位は以下で、上位4県民はそれぞれ延べ2万人以上宿泊した。

順位

感染率全国順位

1月の宿泊者数

大阪

 4

36,805

愛知

21

26,590

神奈川

 7

23,948

福岡

11

20,596

1月に『北海道』(人口当たりの感染率が全国7位)に宿泊した他県民ランキング上位は以下で、上位4県民はそれぞれ延べ1万人以上宿泊した。

順位

感染率全国順位

1月の宿泊者数

東京

 1

72,917

兵庫

12

16,317

神奈川

 7

15,250

大阪

 4

12,308

1月に『大阪』(人口当たりの感染率が全国4位)に宿泊した他県民ランキング上位は以下で、上位3県民はそれぞれ延べ2万人以上宿泊した。

順位

感染率全国順位

1月の宿泊者数

東京

 1

70,111

神奈川

 7

21,552

兵庫

12

20,505

感染率上位の県は相互に県民の宿泊者数が多く、各他県民が宿泊したホテルで感染を相互に拡げあった可能性がある。

【+】北陸地方への感染経路
『富山』は人口当たりの感染率が全国3位。1月の富山県民の県外宿泊先は以下で、この4県には、それぞれ延べ2千人以上の富山県民が宿泊した。

順位

感染率全国順位

1月の宿泊者数

石川

 2

5,351

東京

 1

4,202

千葉

 8

3,688

大阪

 4

2,178

『富山』より感染率上位の東京で宿泊した富山県民が地元へCovid-19を持ち帰り、県内で感染拡大後に、他県への宿泊者がウィルスキャリアとなって他県へ拡げた可能性がある。B-C群の県の分析では、富山県民延べ宿泊数が多い県ほど感染率が高い。
また、東京都民の宿泊者が多い県ほど感染率が高いことも、都内で感染拡大後にウィルスキャリアとなって他県へ宿泊したと考えるのが自然だろう。
無症状者や軽症者が1月の早い時期に都内のシティホテル・ビジネスホテルで感染拡大したと仮定すると、このシナリオは成り立つ。

【+】海外からの来訪者への感染
海外からの来訪者の国別の宿泊数上位は、『マレーシア』『シンガポール』『インドネシア』。
各国の第1号感染者の発生報告日は、『日本』(1月15日)→『シンガポール』(1月24日)→『マレーシア』(1月25日)→『インドネシア』(3月2日)の順。『マレーシア』『シンガポール』から日本への来訪者は、日本でCovid-19に感染し、母国へ持ち帰った可能性がある。
1月の観光客数が約15万人と3番目に多かった『インドネシア』では、第1号感染者の発生が3月2日と発表されており、『日本』滞在から1か月以上の間隔がある。Covid-19の潜伏期間(1~2週間)を考えると、1月に『日本』に滞在したインドネシア人が同国の感染源となった可能性はない。
なお1月に上位3か国からの来訪者に共通した宿泊先県は、①東京 ②北海道 ③大阪 の順で、観光・ビジネスの人気県だ。
また正の相関0.60に「貸切バスの輸送量」があり、観光バス旅行中の感染の可能性も示唆している。

【+】『中国』『タイ』『香港』『台湾』『韓国』人宿泊者比率
第1号感染者の発生報告日が、『中国』(香港を含む:12月31日)→『タイ』(1月13日)→『日本』(1月15日)→『韓国』(1月20日)→『台湾』(1月21日)の順であることから、『中国・香港』『タイ』からの来訪者が『日本』へCovid-19を持ち込み、『韓国』『台湾』からの来訪者が自国へ持ち帰った可能性がある。『タイ』と『日本』の第1号感染者報告日は2日のズレしかないので、『日本』で感染したタイ人が母国帰国後に感染を拡大した可能性もある。

以上から、各地・各国のシティホテル・ビジネスホテル宿泊客が日本各地および母国へCovid-19を拡散したことを相関係数は示唆する。

【+】一般旅券発行件数
海外へ渡航する旅行者数を示すバロメータとなる。海外旅行先で感染した渡航者がコロナウィルスを輸入するルートの存在を示唆する。

【-】岩手の場合
感染者数ゼロの岩手県民の宿泊と感染率の相関が全くない(相関係数0.01)。岩手県民の1月の延べ宿泊者数は52,904人と全国22位で、他県民と比べて少なくはない。
岩手県民の宿泊先上位県は、①岩手(44%) ②千葉(18%) ③東京(9%)。自県内に次いで多い『千葉』での宿泊理由の多くが、新東京国際空港(成田)からの海外渡航の前後泊と仮定すると出入国者数も少なくない。宿泊データからは『岩手』に感染が起きても不思議ない。ところが実際には感染が起きなかったという事実は「感染を抑止する安全な旅行方法」の存在を示唆するのかもしれない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

 

0.70

乗合バス 延べ輸送量 人×距離

0.70

大学卒業者のうち無業者数

0.69

情報通信業の従業者の割合

0.69

大学卒業者のうち就職者数

0.68

短期大学卒業者のうち無業者数

0.68

ソフト系IT産業3業種 事業所数

0.67

労働者災害補償保険適用労働者数

0.67

継続就業者数

0.67

中高年齢者(45歳以上)月間有効求職者数(月平均)

0.67

乗合バス 輸送人員 非定期券

0.66

一般労働者数(65歳以上)(企業規模10人以上の事業所)

0.66

月間有効求職者数(一般)(年度計)

0.66

電力消費量《第三次産業》

0.66

月間有効求人数(一般)(年度計)

-0.65

全世帯当たり総農家比率

0.65

標準価格(平均価格)(工業地)

 

0.65

他市区町村からの通勤者数

0.65

乗合バス 輸送人員 計

0.65

有業者数

0.65

人口当たりの課税対象所得

-0.64

農業就業人口(販売農家)

0.64

男性パートタイム労働者数

 

0.63

日雇労働保険被保険者数

0.63

地域別最低賃金

0.63

流入人口(従業地・通学地人口)

0.63

従業者300人以上の民営事業所数[人口比]

-0.62

新規学卒者求職者数(高校)

0.62

パートタイム月間有効求職者数(常用)(年度計)

-0.62

新規学卒者就職者数(高校)

 

-0.61

高校卒業者のうち就職者数

0.61

中高年齢者(45歳以上)就職件数

 

0.60

従業者100~299人の民営事業所の従業者数

0.60

雇用者数

0.60

従業者100~299人の民営事業所数[人口比]

特記する相関弱・なしの項目

[-0.09]第2次産業従業者数

判定

多様な産業が発達した県では、大学等の高等教育への入学・卒業年次者、乗合バスの利用者が多い地域と感染率に正の相関がある。

考察

【+】乗合バス延べ輸送量(人×距離)、乗合バス輸送人員(非定期券)
公共交通機関では路線バスの方が鉄道よりも室内空間が狭くウィルスが滞留しやすそうだ。交通量が多い路線バスは、バス停での発進と停止を頻繁に繰り返し、定常走行中でも鉄道より加減速や急ブレーキが多く、乗客が手すりや吊革を強く掴んだり、乗客が多いほど乗客同士が濃密に接触する傾向がある。高密な閉空間の生まれやすさが感染率を高めると見られる。

【+】大学・短大卒業者数
2020年3月卒の大学生の就職先内定率は、2019年12月1日のリクルート社発表で95.4%と、就職活動は2019年末にまでに概ね終了していた。2020年1月時点で卒論提出に目途が立った卒業予定者が、学生生活最後の余暇を満喫していた時期と仮定すると、学生同士の飲み会やカラオケルームなどが感染率を高めたのかもしれない。
筆者の個人的な経験で恐縮だが、会社員時代はフレックスタイム制度を使って早朝6時過ぎから仕事を始めていた。出勤経路にあった繁華街では、早朝6時のカラオケ閉店時刻に若者の群れがカラオケ店の玄関から次々に現れ、タクシーや徒歩で散開して行った。若者(学生風に見えた)のオールナイト・カラオケは筆者が通勤していた都市部の繁華街では日常的な風景だった。

【-】全世帯当たり総農家比率・農業就業人口(販売農家)
【0】第2次産業従業者数が相関なし
【+】電力消費量《第三次産業》
感染率は、[負の相関]第一次産業→[相関なし]第二次産業→[正の相関]第三次産業と、産業の高次化に連れて高まっている。高次産業の方が他者との接触機会が多く3蜜を生成する状況が増えるためと考えられる。

【-】新規学卒者求職者数・就職者数(高校)・高校卒業者のうち就職者数
高卒就職者数が少ない(大学等の高等教育機関への進学率が高い)ほど感染率が高い。教育との関連性があるので、「教育環境」分類の項で合わせて分析する。

【+】他市区町村からの通勤者数[率]、流入人口(従業地・通学地人口)
郊外あるいは県外からの都市部への通勤者・通学者が多い地域ほど感染率が高い。人の移動がCivid-19感染のリスクを増すことを示唆している。

【+】正の相関を持つその他の項目
いずれも多様な産業の発達状況を表す項目である。多様な産業の発達は都市を中心とすることから、人口集中度と同じ意味合いを示すと見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

-0.67

死別女:40~44歳

0.67

普通世帯数

0.67

一般世帯数

0.67

総世帯数

-0.66

離別女:30~34歳

-0.65

離別女:25~29歳

0.65

死産数

-0.64

最終学歴人口(高校・旧中)

0.64

住民基本台帳人口(総数)

-0.64

離別男:30~34歳

0.64

一般世帯人員

0.64

40~44歳人口

-0.63

離別女:20~24歳

-0.63

離別女:35~39歳

-0.63

死別男:全年齢

-0.62

60~64歳人口

0.62

未婚女:25~29歳

-0.62

離別男:25~29歳

0.61

25~29歳人口

0.61

45~49歳人口

0.60

20~24歳人口

特記する相関弱・なしの項目

判定

年齢層、婚姻後の離・死別と感染率には正の相関がある。

考察

【+】世帯数(普通・一般・総世帯)、一般世帯人員
世帯数と感染率の相関は、人口集中度と似た意味合いを示すと見られる。ただし、一般世帯人員が多いほど感染率が高いことから、世帯内感染が多いことを示唆している。

【-】死別女:40~44歳、離別女:30~34歳、25~29歳、20~24歳、35~39歳
【-】死別男:全年齢、離別男:30~34歳、25~29歳、35~39歳
婚姻後の離別は、男女とも感染率を下げる。離・死別後の子育てと勤労の両方を一人が負担するケースなど、配偶者に頼れない分、感染を回避しようとする動機が強まるのかもしれない。

【-】最終学歴人口(高校・旧中)
高卒者が多い県ほど感染者が少ない。
大学の所在地は都市部に偏在しているため、大卒は県外(大学がある都市)に就職し、高卒は県内に就職する傾向が強いと仮定すると、人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。
なお本項目は2010年(その後は計測項目から外れた模様)と古いデータであることをお断りする。

【-】60~64歳人口
サラリーマンであれば定年後の延長雇用世代。この世代が少ないと感染リスクが高まる。延長雇用の多くは所得が激減するため、3蜜の環境で遊ぶのに必要な資金不足が感染リスクを下げたかもしれない。

【+】25~29歳未婚女人口、25~29歳人口、40~44歳人口、45~49歳人口、20~24歳人口
二十代(女性は特に未婚者)の人口が多い県と四十代の人口が多い県で感染率が高い。感染第2波では二十代・三十代の感染率が高いとの報道がある。しかし、第1波でも二十代の多い地域で感染率が高いことから、実は感染していた二十代はそれなりに存在し、単に表面化しなかった可能性がある。
また厚生労働省発表の2019年の平均初婚年齢が男31.1歳、女29.4歳であることから、二十代後半は結婚前の交際隆盛時期で、深3密行動の現役世代と見られる。四十代は子育て活動が一段落した後のゆとり期で、深3蜜行動にラストスパートする世代なのかもしれない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.71

大学入学者数

 

0.69

各種学校生徒数

0.69

大学卒業者数

0.67

専修学校生徒数

0.66

短期大学卒業者数

0.66

大学進学希望者数(新規高卒者)

0.65

短期大学入学者数

0.65

短期大学数

0.63

保育所等定員数

0.62

特別支援学校生徒数(公立)

0.62

幼稚園修了者数

0.61

小学校児童数(第1学年児童数)

0.61

保育所等利用待機児童数

0.60

保育所等修了者数

0.60

通勤・通学の平均時間(15歳以上)(女)

0.60

幼稚園定員数

特記する相関弱・なしの項目

判定

大学入学者の人数 または 大学卒業年次の人数と感染率の高さに正の相関がある。

考察

【+】大学入学者数、大学進学希望者数(新規高卒者)
【-】(分類「産業状況」より)新規学卒者求職者数・就職者数(高校)・高校卒業者のうち就職者数
大学等の高等教育機関への進学率が高い(高卒就職者数が少ない)ほど感染率が高い。
分類「観光」での分析と関連付けて考察すると、大学受験時期と感染拡大時期が重なった影響と見られる。大学の所在地は首都圏に偏在しているため、地方から受験で首都圏へ移動した受験生が宿泊したホテルでCovid-19に感染し、地元へ持ち帰ったことを示唆する。

【+】各種学校生徒数、専修学校生徒数
同世代の国公立大学生数・私立大学生数だと感染率との相関はない。高等教育機関の種別の違いによる学生・生徒の特徴の違いは筆者に知見がないので考察は容赦いただきたい。

【+】大学卒業者数、短期大学卒業者数、短期大学入学者数
筆者に知見がないので考察は容赦いただきたい。

【+】幼稚園修了者数、小学校児童数(第1学年児童数)、保育所等修了者数、保育所等定員数、保育所等利用待機児童数、幼稚園定員数
いずれの項目とも、ランキング上位に来るのは大都市を抱える県。人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

【+】通勤・通学の平均時間(15歳以上)(女)
通勤・通学時間の全国平均は25分。遠距離通勤・通学に感染率が高い。長時間の移動が感染リスクを高めると見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.68

一般財源(都道府県財政)

0.68

住民税(都道府県,市町村財政合計)

0.67

人件費(都道府県財政)

0.67

地方税(都道府県財政)

0.67

歳出決算総額(都道府県財政)

0.67

固定資産税(都道府県,市町村財政合計)

0.66

歳入決算総額(都道府県財政)

0.66

自主財源額(都道府県財政)

0.65

国税徴収決定済額

0.64

ごみ計画収集人口

0.63

下水道によるトイレ水洗化人口

0.60

下水道排水区域人口

0.60

下水道処理区域人口

特記する相関弱・なしの項目

判定

公共インフラの規模と感染率に正の相関はあるが、意味的には人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

考察

【+】都道府県財政・市町村財政の規模
財政規模の大きな自治体は、たいてい都市部にある。人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

【+】下水道によるトイレ水洗化人口、下水道区域人口
下水道の整備が進んでいる地域ほど感染リスクが高い。下水道の整備は都市を中心とすることから、人口集中度と同じ意味合いを示すとの解釈がまず考えられる。
また、下水に含まれるウィルス量の変化が、一週間後の当該地域の感染率と連動したと報告されたとの報道もある。この報道を考慮すると、便座・排水レバー・操作パネル・ロールペーパーの蓋・手洗所にウィルスが滞留して感染源となっているのかもしれない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.69

一般病院外来患者延数

 

0.67

一般病院退院患者数

0.67

一般病院新入院患者数

0.66

一般病院在院患者延数

0.66

健康保険被保険者 保険給付金額(診療費)

0.65

健康保険被保険者 保険給付件数(診療費)

0.64

有訴者数

0.64

通院者数

0.63

健康保険被扶養者 保険給付金額(診療費)

0.63

2,500g未満の出生数

0.62

健康保険被扶養者 保険給付件数(診療費)

0.60

新生児死亡数

特記する相関弱・なしの項目

人口当たりの医療施設医師数[0.15]、一般病院看護師数[-0.11]

判定

患者数と感染率には正の相関がある。

考察

【+】一般病院外来患者延数、退院患者数、新入院患者数、在院患者延数、有訴者数、通院者数
外来患者・入院患者の院内感染が多いことを示唆する。

【+】健康保険被保険者・被扶養者の保険給付金額・件数(診療費)
医療施設での健康保険利用率が高いほど感染率が高い。院内感染が多いことを示唆する。

【+】2,500g未満の出生数、新生児死亡数
難度の高い出産が多いほど感染率が高い。筆者に知見がないので考察は容赦いただきたい。

【0】医師・看護師の数は感染率と相関関係なし
医師・看護師の余裕人員状況と感染率には相関関係がない。余裕人員が少ない医療環境でも現場の献身的運用でサービス品質を確保したと見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

 

0.69

標準価格(平均価格)(住宅地)

0.64

人口当たりの民間生命保険保有契約保険金額

0.63

着工居住用建築物床面積

0.63

人口当たりの国内銀行預金残高

-0.61

自動車に占める軽自動車率

0.61

人口当たりの民間生命保険保有契約件数

特記する相関弱・なしの項目

判定

個人資産の多さと感染率には正の相関がある。

考察

【+】住宅価格、住宅の床面積、金融資産
個人資産が多いほど感染率が高い。経済的余裕の使い途が観光旅行では、との推測は可能だが、その二つを関連付けるデータはないので憶測の域を出ない。

【-】軽自動車保有台数
日本自動車工業会『軽自動車の使用実態調査報告書』(2014年)によると、軽自動車は主にセカンドまたはサードカーとして保有され、利用者の男女比は半々。
主用途と見られる買い物や農作業だと乗員数は1名が主流だろう。軽乗用車を持つと3蜜状況が生じにくく、感染率を下げる方へ作用するのかもしれない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.69

標準価格(平均価格)(商業地)

0.65

商業事業所(卸売業+小売業)当たりの従事者

0.65

販売員一人当たりの商業年間商品販売額(卸売業+小売業)

特記する相関弱・なしの項目

判定

商業インフラの規模と感染率に正の相関はあるが、意味的には人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

考察

抽出した3項目とも都市部を示すバロメータで、商業インフラの規模・充実度は人口集中度の高さと同等の意味を持つと考えられる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.64

通信回線ブロードバンド契約数世帯比

0.64

人口当たりの携帯電話契約数

特記する相関弱・なしの項目

判定

全都道府県を対象とする分析では、生活スタイルに感染率と相関関係がある項目はあまりない。

考察

【+】通信回線ブロードバンド契約数世帯比
本項目のブロードバンド回線とは(FTTH,DSL,CATV,FWA,BWA)など家庭用の高速なインターネット・サービスのこと。本項目は平成25年の調査データで、高速なインターネット・サービスの普及が進んだ現在は意味が薄い指標になっているので、除外する。

【+】人口当たりの携帯電話契約数
スマホ・ガラケーの普及は年齢・性別を問わないため、特定の傾向を見つけにくい。
携帯電話の主な利用シーンが外出先だと仮定すると、外出率を反映した間接バロメータと見做せる。つまり外出率の高さが感染率を上げるのだろう。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.67

ビール

特記する相関弱・なしの項目

[-0.40]豆腐

判定

食生活ではビールの消費量が感染率と正の相関を持つ。

考察

【+】ビール消費量
ビールは宅飲みと飲食店での消費が考えられる。ビールを飲む環境(接待を伴う飲食店)が感染率を高めるのか、ビール自体に感染を助長する成分が含まれるか、いずれも考えられる。判断を保留して別の分析(後述)で分析する。

【-】豆腐消費量
全都道府県での分析では、弱い相関に留まる。分析対象を限定すると相関が強まる(後述)。

判定

相関「強」「有」の項目はない。

考察

全県分析の結果をまとめる。

全都道府県を対象として分析した結果、「相関強」の項目はなく、「相関有」の項目を複数見つけられた。

「生活スタイル」「食生活」といった普段の生活に役立ちそうなデータ項目は見つからなかった。

A群(人口集中度が高く、感染率が高い県群)分析

全県分析では分析対象を47都道府県としたため、本来はもっと相関が強いデータ項目が、全県に平準化されて埋没した可能性がある。そこで人口集中度が高い県群に絞って分析する。

A群の立ち位置図
図 8‑4 A群の立ち位置

 表 8‑1 A群の定義

分析対象群名

特徴

群を構成する県
赤字は標準から外れた例外的な相関関係を見せている県

感染率

人口集中度

 [A]人口集中度高

不問

全国平均より高い

東京、大阪、北海道、神奈川、千葉、京都、埼玉、福岡、兵庫、愛知

なおA群分析では、分析対象県数が減る結果、相関関係がより強調されて表れる(相関係数がより高い値で現れやすい)。

A群分析-全体の相関係数分布グラフ

グラフ 8‑6 A群分析-全体の相関係数分布グラフ

分析対象県数が減る結果、機械的な「検定」での除外項目が少し増え、有効なデータ項目数は1220件に減る。
全国分析のグラフと比べ、山が低くなって裾野部へ拡がりが出る。正と負の両側に「相関強」(相関係数の絶対値が0.8以上)が計93項目出現し、「相関有」(相関係数の絶対値が0.6以上0.8未満)が計132項目出現する。

以下、分析範疇ごとの相関係数分布グラフを示して、A群(人口集中度が高く、感染率が高い県群)の大まかな傾向を視える化する。

主に個人の行動に関する分析範疇群

A群分析-個人の行動に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑7 A群分析-個人の行動に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

生活スタイル

0

2

200

3

1

食生活

0

1

159

4

4

個人資産

1

8

27

6

4

主に地域の産業振興状況に関する分析範疇群

A群分析-地域の産業振興状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑8 A群分析-地域の産業振興状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

観光

0

0

56

19

28

産業状況

2

5

87

24

18

主に地域のインフラ整備および利用状況に関する分析範疇群

A群分析-地域のインフラ整備および利用状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑9 A群分析-地域のインフラ整備および利用状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

公共インフラ

0

3

41

8

8

商業インフラ

0

0

14

2

2

医療インフラ

0

0

48

9

4

介護インフラ

0

0

22

0

0

主に地域社会の状況に関する分析範疇群

A群分析-地域社会の状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑10 A群分析-地域社会の状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

教育環境

0

6

66

8

3

社会状況

0

0

30

0

1

人口構成

8

28

190

29

9

自然・生活環境

0

1

20

2

0

上述の分析範疇で、正と負の「相関強」の合計項目が多い順のランキングを示す。

順序

分析範疇名

相関度の件数

観光

28

19

産業状況

20

29

人口構成

17

21

公共インフラ

8

11

個人資産

5

14

医療インフラ

4

9

食生活

4

5

教育環境

3

14

商業インフラ

2

2

10

生活スタイル

1

5

11

社会状況

1

0

12

自然・生活環境

0

3

13

介護インフラ

0

0

  表 8‑3 A群分析-分析範疇の影響力ランキング

上述の分析範疇で、正と負の「相関強」の計測項目が多い順に、分析範疇単位で感染率との関係メカニズムを考察して分析結果表に示す。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.95

インドネシア人延べ宿泊数

 

0.95

シンガポール人延べ宿泊数

0.94

外国人シティホテル延べ宿泊数

0.93

日本人シティホテル延べ宿泊数

0.93

オーストラリア人延べ宿泊数

0.93

その他外国人延べ宿泊数

0.92

ロシア人延べ宿泊数

0.91

アメリカ人延べ宿泊数

0.91

イギリス人延べ宿泊数

0.91

ホテル客室数

0.91

カナダ人延べ宿泊数

0.91

ドイツ人延べ宿泊数

0.91

フランス人延べ宿泊数

0.90

日本人延べ宿泊者数

0.89

東京都民延べ宿泊数

0.89

マレーシア人延べ宿泊数

0.89

インド人延べ宿泊数

0.89

会社・団体の宿泊所のうち外国人延べ宿泊者数

0.88

登録ホテル客室数

0.87

日本人ビジネスホテル延べ宿泊数

0.86

スペイン人延べ宿泊数

0.85

フィリピン人延べ宿泊数

0.84

全体客室数

0.83

外国人ビジネスホテル延べ宿泊数

0.83

愛媛県民延べ宿泊数

0.82

イタリア人延べ宿泊数

0.82

香港人延べ宿泊数

0.81

台湾人延べ宿泊数

なし

省略

特記する相関弱・なしの項目

判定

外国からの来訪者と感染率に強い正の相関がある。

考察

宿泊数データは、Covid-19の感染が始まった2020年1月のデータを利用した。

外国からの来訪者の相関係数値が上がり、相関度の強さの順位が変わった。
全国分析では1位だった日本人シティホテル延べ宿泊数が4位にランクダウンし、A群分析では国内の宿泊者の影響は相対的に低下する。全国対象の分析ではアジア諸国の次に欧米諸国が来る順位だった。『インドネシア』『シンガポール』は依然1,2位だが、以降『オーストラリア』『欧米諸国』が続く。

Covid-19の流入・流出経路
全国分析では、『中国』『タイ』『香港』『台湾』『韓国』人宿泊者比率が高い県で感染率が高かった。A群の県に限定すると、『香港』『台湾』人宿泊者比率が高い県に絞られる。

第1号感染者の発生報告日

1月の総宿泊者数

中国(香港を含む)

12月31日

3,088,990

タイ

 1月13日

347,200

日本

 1月15日

台湾

 1月21日

473,850

各国の第1号感染者の発生報告日が、上表の順であることから、『香港』からの来訪者が『日本』へCovid-19を持ち込み、『台湾』からの来訪者が自国へ持ち帰った可能性を示唆している。『タイ』と『日本』の第1号感染者報告日は2日のズレしかないので、『日本』で感染したタイ人が母国帰国後に感染を拡大した可能性もある。

また海外からの来訪者の宿泊数上位国の第1号感染者の発生報告日と、宿泊者数は以下。

第1号感染者の発生報告日

1月の総宿泊者数

日本

 1月15日

シンガポール

 1月24日

175,430

マレーシア

 1月25日

127,420

フランス

 1月25日

54,660

アメリカ

 1月25日

473,850

カナダ

 1月26日

71,150

ドイツ

 1月28日

46,730

イタリア

 1月31日

40,600

スペイン

 2月  1日

26,540

イギリス

 2月  1日

91,340

ロシア

 2月  1日

36,070

オーストラリア

 2月26日

410,640

インドネシア

 3月  2日

153,100

第1号感染者の発生順は、各国からの来訪者が『日本』で感染し、自国へ持ち帰った可能性を示唆している。
ただし『オーストラリア』『インドネシア』は第1号感染者の発生が『日本』滞在から1か月近く間隔が空く。Covid-19の潜伏期間(1~2週間)を考えると、1月に『日本』に滞在した両国人が自国へ持ち帰った可能性はない。総宿泊者数が上位の両国の滞在者に感染者が出なかったとは信じ難いが、データは感染がないことを示す。

観光先として海外から人気を得た『日本』は、Covid-19の第二の感染源にもなった。A群の県のうち1月に外国人宿泊者が多かった上位県 ①東京(外国人宿泊者2,372,680人) ②大阪(1,495,120人) ③北海道(1,084,360人) ④京都(891,520人)でCovid-19の流入と海外への流出が起きた可能性が高い。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

 

0.90

大学卒業者のうち無業者数

0.88

ソフト系IT産業3業種 事業所数

0.88

中高年齢者(45歳以上)月間有効求職者数(月平均)

0.87

情報通信業の従業者の割合

0.87

乗合バス 延べ輸送量 人×距離

0.86

労働者災害補償保険適用労働者数

0.86

電力消費量《第三次産業》

0.86

普通建設事業費(都道府県財政)

0.85

月間有効求職者数(一般)(年度計)

0.85

投資的経費(都道府県財政)

0.84

第3次産業従業者数

0.84

大学卒業者のうち就職者数

0.84

流入人口(従業地・通学地人口)

0.83

月間有効求人数(一般)(年度計)

-0.82

製造業事業所当たりの従事者

0.82

継続就業者数

 

0.82

標準価格(平均価格)(工業地)

0.82

中高年齢者(45歳以上)就職件数

-0.80

電力消費量《産業部門》

0.80

短期大学卒業者のうち無業者数

-0.75

第2次産業就業者数

省略

-0.73

製造事業所当たりの製造品出荷額等

-0.71

製造業従業者数

-0.69

全世帯当たり総農家比率

-0.62

非労働力人口(男)

特記する相関弱・なしの項目

判定

多様な産業が発達した地域と感染率に正の相関がある。

考察

おおむね全国分析と同じ。多様な産業の発達は都市を中心とすることから、人口集中度と同じ意味合いを示すと見られる。

【+】製造業事業所当たりの従事者、第2次産業就業者数、製造業従業者数
全国分析では第二次産業は相関が見られなかった。A群の分析では、第二次産業(製造業)が負の相関を持ち、第三次産業が発展した県で感染率が高い。第三次産業は多様な人との接触機会が増える傾向にあると見られることから、接触機会が感染率を高めることを示唆している。

【-】他市区町村からの通勤者数[率]、流入人口(従業地・通学地人口)
郊外あるいは県外からの都市部への通勤者・通学者が多い地域ほど感染率が高い。人の移動がCivid-19感染のリスクを増すことを示唆している。

【+】中高年齢者(45歳以上)月間有効求職者数(月平均)
【-】非労働力人口(男)[率]
失業率が低い県ほど感染率が高い。職場感染が少なくないことを示唆している。

【-】製造事業所当たりの製造品出荷額等
製品出荷額が小さいほど感染率が高い(出荷額が大きいほど感染率が低い)。
感染率に影響する明確な理由は不明。低価格の製品の製造業で、製造工程の機械化を進展させにくい(特に零細な)工場は、工員が製造ラインで密接に隣り合って作業するため、感染リスクを高めるのかもしれない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

-0.93

10~14歳人口

 

-0.91

15~19歳人口

-0.90

有配偶男:70~74歳

 

0.88

未婚男:75~79歳

0.88

未婚女:55~59歳

0.88

未婚女:60~64歳

-0.86

共働き世帯数

0.86

未婚女:50~54歳

 

0.85

単独世帯数

0.84

未婚男:70~74歳

0.83

未婚女:65~69歳

-0.82

三世代世帯比率

0.82

未婚女:40~44歳

-0.82

有配偶男:65~69歳

 

-0.81

有配偶男:60~64歳

0.81

未婚女:45~49歳

-0.80

戸当たりの人口

 

省略

省略

特記する相関弱・なしの項目

判定

10代の人口数 または 単身の中高年・高齢者数と、感染率には正の相関がある。

考察

【-】10~14歳人口、15~19歳人口
10代の人口比率が低いほど感染率が高い(人口比率が高いほど感染率が低い)。
学校を2月28日から全国一斉臨時休業とした政策の有効性を示唆している。休業の受入現場である保護者や学校の負担は大きかったが、その効果も大きい。負の相関が強さから発令された政策の遵守率の高さがうかがわれる。当事者の少年・少女たちの自己制御能力も侮れない。
この相関は、全国分析では現れなかったが、A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)に限定すると顕在化する。これは、学校一斉休業政策の適用範囲が人口集中度の高い地域に限定可能なことを示している。

【-】有配偶男:70~74歳、60~64歳、65~69歳
配偶者がいる高齢男性が少ないほど感染率が高い(配偶者がいる高齢男性は感染率が低い)。高齢の夫の世話を焼く妻の存在価値の大きさを示している。

【+】未婚男:75~79歳、70~74歳、未婚女:55~59歳、60~64歳、50~54歳、65~69歳、40~44歳、45~49歳、単独世帯数
中高年以上の未婚者は男女とも感染率が高い。「自分の健康のために」という動機だけでは感染リスク回避行動の動機維持が難しいとも考えられる。
都市部での高齢者の独居の場合、周囲との交流が少ないと、感染対策行動情報が届きにくいケースがあるのかもしれない。民生委員が少ない(相関係数が-0.48で相関が弱いため表には表れない)と感染率を高めている。周囲のサポートの効果はある。

【-】共働き世帯数、三世代世帯数、戸当たりの人口
共働き世帯・三世代世帯・戸当たりの人口が少ないほど感染率が高い。A群の県では、家庭内感染を抑止しようとする意識が強く、感染率を下げたと見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.89

一般財源(都道府県財政)

 

0.89

歳入決算総額(都道府県財政)

0.89

歳出決算総額(都道府県財政)

0.87

国税徴収決定済額

0.87

自主財源額(都道府県財政)

0.86

人件費(都道府県財政)

0.86

地方税(都道府県財政)

0.83

人口当たりのNPO法人認証数

-0.68

国民年金被保険者数(第3号)

省略

-0.63

人口当たりの住居地域面積

-0.60

人口当たりの公民館数

特記する相関弱・なしの項目

判定

公共インフラの規模と感染率に正の相関はあるが、意味的には人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

考察

【+】都道府県財政・市町村財政の規模
【-】住居地域面積
財政規模の大きな自治体は、たいてい都市部にある。また人口当たりの住居地域面積の狭さは都市部に発生する。人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

【+】NPO法人認証数
NPO法人認証数と、新型コロナウィルス感染の因果メカニズム考察は筆者に知見がないので容赦いただく。

【-】国民年金被保険者数(第3号)
専業主婦が少ないほど感染率が高い。専業主婦は在宅が多いと仮定すると、3密状況が生まれにくいだろう。

【-】人口当たりの公民館数
A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)では、少ない公民館に住民が集中し、3密状況の発生場所になったことを示唆する。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

 

0.89

人口当たりの民間生命保険保有契約件数

0.87

人口当たりの国内銀行預金残高

0.86

人口当たりの民間生命保険保有契約保険金額

0.85

人口当たりの火災保険住宅物件・一般物件新契約件数

-0.81

着工新設住宅床平均面積

 

省略

省略

特記する相関弱・なしの項目

判定

個人資産の多さと感染率には正の相関がある。

考察

【+】人口当たりの金融資産
個人資産が多いほど感染率が高い。経済的余裕の使い途が観光旅行では、との推測は可能だが、その二つを関連付けるデータはないので単に憶測でしかない。

【-】着工新設住宅床平均面積
人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.89

人口当たりの歯科診療所数

 

0.86

一般病院外来患者延数

0.81

一般病院退院患者数

0.81

一般病院新入院患者数

なし

省略

特記する相関弱・なしの項目

判定

歯科診療所数 または 病院の患者数と、感染率には正の相関がある。

考察

【+】人口当たりの歯科診療所数
A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)では、全国分析では出てこなかった歯科診療所数と感染率に強い正の相関がある。歯科診療所も感染源になることを示唆している。

【+】一般病院外来患者延数、退院患者数、新入院患者数
全国分析と同様に、外来患者・入院患者の院内感染が多いことを示唆する。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.96

ウイスキー

 

0.92

酒類全般

0.92

果実酒

0.87

ビール

 

0.80

リキュール

0.75

合成清酒

0.72

甘味果実酒

0.71

清酒

-0.60

ふりかけ

 

特記する相関弱・なしの項目

判定

酒類消費量が感染率と正の相関を持つ。

考察

【+】ウイスキー、酒類全般、果実酒、ビール、リキュール、合成清酒、甘味果実酒、清酒消費量
全国分析ではビールだけが相関有として抽出された。A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)に絞った分析の結果、アルコール全般に渡って感染率を高めていると分かる。ウィスキー・果実酒など上級酒を含む酒類が上位に来ることから、接待を伴う飲食店が感染源となることを強く示唆することが分かる。

【-】ふりかけ消費量
ふりかけ消費量が少ないほど感染率が高い。
「ふりかけ 効能」で検索すると、ふりかけるモノによって効能が異なり、食欲増進やアンチエージングなど様々な効能があるという。だがCovid-19の感染を抑制するメカニズムをイメージできない。B-C群の分析では逆に、ふりかけ消費量が多いほど感染率が高いとの相関が出ていることから、感染率とは無関係の可能性が高い。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.85

大学卒業者数

 

0.84

大学入学者数

0.83

専修学校生徒数

省略

省略

特記する相関弱・なしの項目

判定

大学生年代人口と感染率には正の相関がある。

考察

大学生年代層(19~22歳)の実態の知見が弱いので分析は容赦いただく。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.84

標準価格(平均価格)(商業地)

 

0.82

販売員当たりの商業年間商品販売額(卸売業+小売業)

なし

0.77

商業事業所(卸売業+小売業)当たりの従事者

 

0.76

商業従業者数(卸売業+小売業)

特記する相関弱・なしの項目

判定

商業インフラの規模と感染率に正の相関はあるが、意味的には人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

考察

抽出した4項目とも商業の活性度を示し、すなわち都市化の程度を示すバロメータといえる。商業インフラの規模・充実度は人口集中度の高さと同等の意味を持つと考えられる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.86

人口当たりの携帯電話契約数

 

0.70

育児の平均時間(有業者)(男)

0.69

身の回りの用事の平均時間(無業者)(女)

0.67

育児の平均時間(10歳以上)(男)

-0.65

家具・家事用品費(二人以上の世帯)

 

-0.62

家事の平均時間(15歳以上)(女)

特記する相関弱・なしの項目

判定

外出時間が多い生活スタイルと、感染率には正の相関がある。

考察

【+】人口当たりの携帯電話契約数
全国分析と同じで、感染率に影響するメカニズムは不明。携帯電話の主な利用シーンが外出先だと仮定すると、外出率を反映した間接バロメータと見做せる。つまり外出率の高さが感染率を上げるのだろう。A群の県では携帯電話契約数と感染率の相関が全国分析より強まっている。

【+】育児の平均時間(有業者)(男)、育児の平均時間(10歳以上)(男)、身の回りの用事の平均時間(無業者)(女)
男性が育児に掛ける時間の長さと感染率に正の相関がある。
パパのイクメン度が高いほど感染率が高い。
イクメンのパパの存在はママが身の回りの用事をこなせる時間を捻出するはずだ。イクメン度をパパとママの協調度のバロメータと仮定すると、家庭円満に向かうプラスのイメージがある。
しかし、本データを見る限り感染率を高める方へ作用する。イクメンが居る家庭に関する知見がないのでメカニズムの分析は容赦いただく。

【-】家事の平均時間(15歳以上)(女)
女性が家事に掛ける時間が短いほど感染率が高い。もし家事の時間減少が女性の外出時間の増加を示すバロメータだと仮定するなら、分析範疇「公共インフラ」での「国民年金被保険者数(第3号)が多い(専業主婦が多い)ほど感染率が下がる」件と同等(女性の在宅時間を減らす方向へ作用)の意味を持つと考えられる。この推定はいささか飛躍しすぎの感もある。これ以上の知見がないので、メカニズムの分析は容赦いただく。

【-】家具・家事用品費(二人以上の世帯)
生活用具の購入が少ないほど感染率が高い。おそらく家事に掛ける時間が短いほど感染率が高い件と同等の意味を持つ。

以上の考察には曖昧さが残っていることを承知の上で共通点を見出すなら、女性の外出時間の増加(在宅時間の低下)が感染率を高めている。
男性の外出時間と感染率に相関がない理由は、男性は外出時間が女性より長い(夫は外で仕事、妻は家庭の旧来パターン)傾向が現在も根強くあって、相対的に男性の外出時間の差異や影響が目立ち難いのかもしれない。
この考察が的外れでないとすれば、在宅勤務の支援政策は効果があるだろう。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.82

人口当たりの建物火災出火件数

なし

なし

特記する相関弱・なしの項目

判定

建物火災の多さと感染率には正の相関がある。

考察

【+】人口当たりの建物火災出火件数
消防庁の「平成30年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」によると、建物火災の出火原因は、「こんろ(13.5%)」「たばこ(9.4%)」「ストーブ(5.6%)」の順。いずれも不注意に起因することから、個人の注意力不足と感染率が強く相関すると見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

 

0.79

食品衛生関係検査件数

-0.75

水質汚濁防止法上の特定事業場数

 
 

0.62

ウイルス感染-感染原因不明

特記する相関弱・なしの項目

判定

水質汚濁防止法上の特定事業場数と感染率に負の相関はあるが、意味的には人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

考察

【+】食品衛生関係検査件数、ウイルス感染-感染原因不明
各データ項目は食中毒や各種のウィルス感染が発生しやすい環境を示すバロメータと考えられる。細かなメカニズムは分からないが、きれいな環境が維持されているほど感染が発生し難い、つまり「生活環境のクリーン度が低いと感染率を高める」と考えれば納得感はある。
しかしB-C群の分析では逆の相関を示すことから、感染率とは直接の関係がない可能性が高い。

【-】水質汚濁防止法上の特定事業場数
水質汚濁防止法は公共用水域の水質を確保するために、主には工場・事業場からの公害物質を含む排水を管理する法律。管理対象の事業場が少ないとは、化学工場・石油精製工場等が少ないことを示す。この類の工場は都市部を避けて設置されると仮定すれば、人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

判定

相関「強」「有」の項目はない。

考察

A群(人口集中度が高く、感染率が高い県群)分析の結果をまとめる。

海外からの観光客により流入したCivid-19は、他の国からの観光客へ感染し、『日本』は第二の感染源となった。

2月28日から学校を全国一斉臨時休業とした政策は有効だった。

高齢の独居者は感染率が高い。

接待を伴う飲食店は感染源となった。

在宅時間が感染リスクを低下させ(特に女性)、在宅勤務は感染予防に効果がある。

個人的な注意力不足が感染率の高さと関係する。

B-C群(人口集中度が低いほど感染率が高い県群)分析

B群とC群はグラフ上では対称的な位置関係にあり、B群・C群を抜き出したグラフを作成すると、人口集中度が低いほど感染率が高いという相関関係を形成する。
正反対の傾向を持つ分析対象群を結合[B+C]して分析することで、人口集中度が全国平均を下回る地域で観戦を抑止する原因を探る。

B群とC群の立ち位置図
図 8‑5 B群とC群の立ち位置

     表 14‑1 B-C群の定義

分析対象群名

特徴

群を構成する県
赤字は標準から外れた例外的な相関関係を見せている県

感染率

人口集中度

[B]人口分散&高感染率

感染が深刻

県全域に分散傾向

石川富山福井、高知

[C]人口平均&低感染率

感染が少ない

全国平均付近

沖縄、奈良、広島、宮城、静岡

なおB-C群分析では、分析対象県数が減る結果、相関関係がより強調されて表れる(相関係数がより高い値で現れやすい)。

B-C群分析-全体の相関係数分布グラフ

グラフ 8‑11 B-C群分析-全体の相関係数分布グラフ

分析対象県数が減る結果、機械的な「検定」での除外項目が少し増え、有効なデータ項目数は1178件に減る。
全国分析のグラフと比べ、裾野部へ拡がりが出て、負の相関が強まる。正の側に「相関強」(相関係数の絶対値が0.8以上)が計17項目出現し、「相関有」(相関係数の絶対値が0.6以上0.8未満)が計152項目出現する。
以下、分析範疇ごとの相関係数分布グラフを示して、B-C群(人口集中度が低いほど感染率が高い県群)の大まかな傾向を視える化する。

主に個人の行動に関する分析範疇群

B-C群分析-個人の行動に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑12 B-C群分析-個人の行動に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

生活スタイル

0

5

187

5

4

食生活

1

9

151

4

0

個人資産

0

3

27

13

1

主に地域の産業振興状況に関する分析範疇群

B-C群分析-地域の産業振興状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑13 B-C群分析-地域の産業振興状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

観光

0

5

87

2

0

産業状況

0

12

112

11

0

主に地域のインフラ整備および利用状況に関する分析範疇群

B-C群分析-地域のインフラ整備および利用状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑14 B-C群分析-地域のインフラ整備および利用状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

公共インフラ

0

6

41

7

4

商業インフラ

0

2

14

2

0

医療インフラ

0

5

48

2

1

介護インフラ

0

0

15

7

0

主に地域社会の状況に関する分析範疇群

B-C群分析-地域社会の状況に関する相関係数分布グラフ

グラフ 8‑15 B-C群分析-地域社会の状況に関する相関係数分布グラフ

分析範疇

負の相関係数の件数

相関弱・なしの件数

正の相関係数の件数

教育環境

0

11

67

1

1

社会状況

0

4

17

1

2

人口構成

1

18

225

14

1

自然・生活環境

0

2

19

1

1

上述の分析範疇で、正と負の「相関強」の合計項目が多い順のランキングを示す。

順序

分析範疇名

相関度の件数

公共インフラ

4

13

生活スタイル

4

10

人口構成

2

32

社会状況

2

5

個人資産

1

16

食生活

1

13

教育環境

1

12

医療インフラ

1

7

自然・生活環境

1

3

10

産業状況

0

23

11

介護インフラ

0

7

11

観光

0

7

13

商業インフラ

0

4

  表 8‑5 B-C群分析-分析範疇の影響力ランキング

上述の分析範疇で、正と負の「相関強」の計測項目が多い順に、分析範疇単位で感染率との関係メカニズムを考察して分析結果表に示す。

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.90

人口当たりの高齢者学級・講座数

 

0.90

人口当たりの博物館数

0.90

人口当たりの運動公園数

0.89

人口当たりの社会体育施設数

 

0.79

人口当たりの女性学級・講座数

0.77

人口当たりの成人一般学級・講座数

-0.76

地方交付税(都道府県財政)

 
 

0.74

人口当たりの公民館数

0.72

人口当たりの水泳プール数(屋内,屋外)

0.71

人口当たりのごみ総排出量

-0.69

人件費(都道府県財政)

 

-0.66

歳出決算総額(都道府県財政)

0.66

人口当たりの図書館数

-0.64

歳入決算総額(都道府県財政)

 
 

0.63

人口当たりの青少年教育施設数

-0.62

一般財源(都道府県財政)

 

-0.61

国民年金被保険者数(第1号)

特記する相関弱・なしの項目

判定

次の施設・開催場は感染率と正の相関がある。高齢者学級・講座、博物館、運動公園、社会体育施設、女性学級・講座、成人一般学級・講座、公民館、水泳プール、図書館、青少年教育施設。

考察

【+】人口当たりの高齢者学級・講座、博物館、運動公園、社会体育施設
これらの施設や開催場が、感染源となったことを強く示唆している。

【+】人口当たりの女性学級・講座、成人一般学級・講座、公民館、水泳プール、図書館、青少年教育施設
これらの施設や開催場が、感染源となったことを示唆している。

【-】都道府県財政・市町村財政の規模、国民年金被保険者数(第1号)
財政規模の小さな(人口集中度がそれほど高くない)自治体で感染率が高いことを示す。本分析で用いるB群の県の特性であり、これら指標と感染率との相関はなさそうだ。

【+】人口当たりのごみ総排出量
ごみの量と感染率に正の相関がある。B群の県はごみ排出量がやや多い傾向は見られるが、突出してはいない。背景に感染率を高めるメカニズムが存在する可能性がある。もしかすると「ごみ集積場所」と関係があるのかもしれない。知見がないため考察は容赦いただく。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.92

温泉・銭湯入浴料

 

0.90

人口当たりの公衆浴場数

0.87

理髪料

0.83

交通・通信費(二人以上の世帯)

-0.74

本購入でのネット利用率

 
 

0.73

電力消費量《家庭部門》

0.72

CATV契約数世帯比

0.69

移動電話通信料

-0.68

食料費(二人以上の世帯)

 

-0.66

文化施設観覧

-0.63

食事の平均時間(無業者)(女)

-0.61

身の回りの用事の平均時間(有業者)(男)

 

0.60

浮気率

0.60

休養・くつろぎの平均時間(15歳以上)(男)

特記する相関弱・なしの項目

判定

次の生活スタイルは感染率と正の相関がある。
「場所:公衆浴場・理髪店・書店」「行動:外出・浮気」「状況:貧困・多忙」。

考察

【+】温泉・銭湯入浴料、人口当たりの公衆浴場数
文字通り温泉・銭湯が感染源となったことを強く示唆している。

【+】理髪料
理髪店が感染源となったことを強く示唆している。

【+】交通・通信費(二人以上の世帯)
統計資料のサイトでは本項目の説明は「交通、自動車購入・維持費、通信」となっており、最大の費用は自動車購入費だろう。B群の『福井』『富山』が乗用車の一世帯当たりの保有台数が全国1、2位であることから、感染率が高い北陸地方の地域性が現れたものと推察され、感染率との相関はなさそうだ。

【-】本購入でのネット利用率
書籍・雑誌購入でのネット利用率が高いほど感染率が低い。実物を手に取るリアル書店が感染源となり得ることを示唆している。

人が集まる場所が感染源になったことを示唆している。

【+】電力消費量《家庭部門》
B群の北陸地方は住宅事情で電力消費が多いらしい。①家屋が大きく大型エアコンが必要 ②部屋数が多く照明数も多い という背景から、電力の消費が多いという地域性があり、感染率との相関はなさそうだ。

【+】CATV契約数世帯比
B群の北陸地方の地域性としてCATVの利用者が多く、感染率との相関はなさそうだ。

【+】移動電話通信料
全国分析・A群の分析での「人口当たりの携帯電話契約数」に相当する指標で、感染率に影響するメカニズムは不明。携帯電話の主な利用シーンが外出先だと仮定すると、外出率を反映した間接バロメータと見做せる。つまり外出率の高さが感染率を上げるのだろう。B-C群の県では感染率の相関が全国分析より強まっている。

【-】食料費(二人以上の世帯)、食事の平均時間(無業者)(女)
分析範疇「社会状況」では、貧困が感染率を高めると分析した。食事に関する2項目も貧困度を示す指標と見られる。
アメリカ合衆国では貧困層で感染率・死亡率が高いと報道されている。B-C群の県でも同じ傾向があるのかもしれない。

【-】文化施設観覧
文化施設を観覧することが感染率を下げる。メカニズムの推定は難しい。少なくともB-C群の県で文化施設は感染源ではないと言える。

【+】浮気率
浮気が多いほど感染率が高い。浮気は深3密の状況を招きやすいので確実に感染を拡大するだろう。
ただし本項目は2013年の調査データであることをお断りしておく。

【-】休養・くつろぎの平均時間(15歳以上)(男)、身の回りの用事の平均時間(有業者)(男)
多忙さを示すバロメータに見える。忙しい男性ほど余裕が持てずに感染しやすいとは言えるかもしれない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

-0.81

有配偶女: 85歳以上

0.80

有配偶男:80~84歳

-0.79

乳児死亡数

0.79

死別女:85歳以上

-0.78

有配偶女:80~84歳

 

-0.76

死産数

-0.76

20~24歳(女人口)

-0.76

離別女:15~19歳

 

0.72

死別女:80~84歳

0.71

死別女:75~79歳

0.71

共働き世帯数

0.71

有配偶男: 85歳以上

0.70

死別女:70~74歳

-0.68

65歳以上人口(男)

 

-0.67

未婚女:85歳以上

 

0.66

死別女:60~64歳

0.66

在留外国人《中国》

0.66

単独・核家族・三世代以外の世帯比率

-0.65

未婚女:80~84歳

0.65

20~24歳(男人口)

 

0.65

死別女:全年齢

-0.63

死亡数(0~4歳)

 

-0.63

未婚女:全年齢

-0.63

未婚女:50~54歳

-0.62

離別女:20~24歳

-0.62

未婚女:55~59歳

-0.62

未婚女:60~64歳

-0.61

普通世帯数

0.61

未婚女:15~19歳

-0.61

総世帯数

 

-0.61

一般世帯数

0.60

65歳以上人口(女)

-0.60

住民基本台帳人口(総数)

0.60

死別女:65~69歳

特記する相関弱・なしの項目

判定

離・死別の単身女性と感染率に強めの正の相関がある。

考察

【-】有配偶女:85歳以上、有配偶女:80~84歳
【+】死別女:85歳以上
80歳以上で配偶者がいない女性と感染率に強い相関がある。高齢女性は配偶者がいないと感染を抑止する動機を持ち難いのかもしれない。配偶者の世話焼きを心の張りにする女性が多いのだろうか。

【+】有配偶男:80~84歳、有配偶男: 85歳以上
80歳以上で配偶者がいる男性と感染率に相関がある。とくに80~84歳の男性で相関が強い。男性は配偶者がいる方が高い感染率を示している。80歳以上の男性は妻の世話焼き効果が出なくなるように見える。
この年齢帯には男性の平均寿命があり、平均的男性は体力が弱まっているのかもしれない。この年齢帯を通過する人は平均以上の体力があり、85歳以上では感染率との相関が少し弱まると考えると辻褄が合う。

【+】単独・核家族・三世代以外の世帯比率
単独・核家族・三世代以外の世帯と感染率に正の相関がある。単独・核家族・三世代以外の世帯とは、主に高齢者夫婦の世帯が該当する。

上記の項目から、Covid-19への抵抗力・体力を維持する年齢の分水嶺が80~85歳にあることを示唆する。

【-】死産数、乳児死亡数、死亡数(0~4歳)
死産や乳児死亡が少ないほど感染率が高い。ウラ返すと、死産や乳児死亡が多いほど感染率が低い。背景にCovid-19感染率に関係するメカニズムが存在する可能性がある。知見がないため考察は容赦いただく。

【+】20~24歳(女人口)、離別女:15~19歳
二十代前半の女性が少ないほど感染率が高い。また十代で結婚して十代のうちに離婚した女性が少ないほど感染率が高い。一方で分類「教育環境」の項目では短期大学生数(注:検索すると短大生は女子率が90%近いようだ)が多いほど感染率が高い。近傍年齢帯で相反する相関が出ていることから、十代後半から二十代前半の女性はさらにセグメントを細分化する必要がありそうだ。筆者は知見がなく考察は容赦いただく。

【+】死別女:70~74歳、死別女:60~64歳、死別女:全年齢、65歳以上人口(女)、死別女:65~69歳
60歳代、70歳代で配偶者と死別した女性と感染率にも(80歳以上でほどではないが)相関がある。
65歳以上(女)と感染率に正の相関があるが、本分類の正の相関側に登場する項目の多くが死・離別の女性であることから、もともと女性の方が男性より感染しやすいと見られる。

【-】未婚女:80~84歳、未婚女:全年齢、未婚女:50~54歳、未婚女:55~59歳、未婚女:60~64歳
高齢の未婚女性が多いほど感染率が低い。離・死別した高齢女性の感染率が高いことから、未婚を通している女性は人生の途中で配偶者を喪失するイベントを経験しないため、感染抑止の動機を維持しやすいのかもしれない。

【+】共働き世帯数
共働き世帯数と感染率に正の相関がある。夫婦とも家族以外との接触の機会が増えるので、当然感染リスクを高める。

【+】在留外国人《中国》
中国出身の在留外国人数と感染率に正の相関がある。在留外国人は出身国別の統計があるが、感染率との相関を示す出身地は『中国』だけである。在留外国人の約3割が『中国』出身者で数が多いこともあり、人のつながりを重視する中国人コミュニティ内での感染がありそうだ。

【+】20~24歳(男人口)、未婚女:15~19歳
男女ともに若者の多さと感染率に正の相関がある。

【-】離別女: 20~24歳
婚姻後の離別は感染率を下げる。二十代前半のシングルマザーの場合は、子育てと勤労の両方を一人が負担して配偶者に頼れない分、感染を回避しようとする動機が強まるのかもしれない。

【-】普通世帯数、総世帯数、一般世帯数、住民基本台帳人口(総数)
当たり前だが人口が少ないほど感染しにくい。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.82

保護施設在所者数(医療保護施設以外)

 

0.82

保護施設定員数(医療保護施設以外)

-0.74

知的障害者療育手帳交付数

 

-0.70

凶悪犯認知件数

-0.68

生活保護教育扶助人員

-0.62

刑法犯認知件数

 

0.61

消防機関出動回数

特記する相関弱・なしの項目

判定

保護施設在所者に対する支援体制が弱さと感染率に強い正の相関がある。

考察

【+】保護施設在所者数、保護施設定員数(医療保護施設以外)
医療保護施設以外の保護施設の定員数・在所者数と感染率に強い正の相関がある。
医療保護施設以外の保護施設とは、生活保護を実施するために設置される福祉施設(「救護施設」「更生施設」「授産施設」「宿所提供施設」)で、計測対象の2017年は定員数・在所者数とも全国で19,000人程度だった。つまり、貧困と感染率には強い正の相関がある。
貧困の故に、医療サービスを受けにくい、感染防具(マスク類)を調達しにくい、等の障害が生じているのかもしれない。
全世帯一律へのマスク配付、全世帯員への一律10万円給付政策は、切実に支援を必要とする方へは間に合わず、貧困層の感染抑止に失敗した。

【-】知的障害者療育手帳交付数
知的障害者が少ないほど感染率が高い。筆者は知見がなく考察は容赦いただく。

【-】凶悪犯認知件数、刑法犯認知件数
犯罪が少ないほど感染率が高い。筆者は知見がなく考察は容赦いただく

【-】生活保護教育扶助人員
生活保護教育扶助は義務教育を受けるために必要な学用品費の扶助で、対象者が少ないほど感染率が高い。この計測項目も貧困に関する項目だが、保護施設在所者数とは反対に負の相関を示している。筆者は保護施設在所者と生活保護教育扶助対象者の特性の違いの知見がなく、考察は容赦いただく。

【+】消防機関出動回数
消防庁の「平成30年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」によると、建物火災の出火原因は、「こんろ(13.5%)」「たばこ(9.4%)」「ストーブ(5.6%)」の順。いずれも不注意に起因することから、個人の注意力不足と感染率が相関すると見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.82

二人以上の勤労者世帯の勤め先収入,事業・内職収入等以外の経常収入

 

0.72

一戸建住宅数[率]

0.72

二人以上の勤労者世帯の世帯主の配偶者の収入

0.71

二人以上の勤労者世帯の可処分所得

0.71

二人以上の勤労者世帯の預貯金

0.68

着工新設持ち家床平均面積

-0.67

共同住宅数[率]

 
 

0.66

民間生命保険保有契約保険金額

0.66

生命保険現在高(二人以上の世帯)(1世帯当たり)

0.65

火災保険住宅物件・一般物件保険金支払件数

0.64

持ち家数[率]

0.64

二人以上の勤労者世帯の預貯金引出

-0.62

借家数[率]

 

-0.61

標準価格(平均価格)(住宅地)

0.61

着工新設持ち家数[率]

 

0.61

一般車保有台数

0.61

着工新設住宅床平均面積

特記する相関弱・なしの項目

判定

個人資産の多さと感染率には正の相関がある。

考察

【+】二人以上の勤労者世帯の財産(所得・金融資産・住宅・自動車など)
財産の多さと感染率は強い正の相関を持つ。経済的余裕の使い途が観光旅行や外出では、との推測は可能だが、その二つを関連付けるデータはないので憶測の域を出ない。

【-】共同住宅数、借家数、標準価格(平均価格)(住宅地)
戸建て持ち家の多さと感染率は正の相関を持つ。経済的余裕の使い途が観光旅行や外出では、との推測は可能だが、その二つを関連付けるデータはないので憶測の域を出ない。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

-0.85

豆腐

なし

-0.80

牛肉・豚肉・鶏肉・合いびき肉以外の生鮮肉

 
 

0.76

清酒

0.75

いか

-0.74

玉葱

 

-0.72

にんじん

-0.68

乳飲料

-0.67

味噌

-0.64

ピーマン

0.64

マヨネーズ

-0.63

かつお節

 

-0.62

だいこん

0.62

ふりかけ

-0.61

酒豪型遺伝子の出現率

 

特記する相関弱・なしの項目

判定

感染率と相関を持つ食材が存在する。
「豆腐」「ジビエ肉」「玉葱・にんじん・ピーマン・だいこんの野菜類」「味噌・かつお節・マヨネーズの調味料」「乳飲料」

考察

【-】豆腐消費量
「豆腐」の消費量が多いほど感染率が低い。全国分析だと相関度は-0.40に弱まるが、やはり負の相関関係は見られる。豆腐を毎週一丁のペースで摂取する『三重』の人口当たりの感染率は2.5(全国37位)と低い。
「豆腐」は、その継続的な摂取がCovid-19検出力を短期間に獲得するように肉体を醸成する(漢方薬的効能)か、一時的な摂取がCovid-19の抗体製造を促進する(ワクチン的効能)のか不明だが、背景にCovid-19感染率に関係するメカニズムが存在する可能性がある。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

【-】牛肉・豚肉・鶏肉・合いびき肉以外の生鮮肉消費量
「牛肉・豚肉・鶏肉・合いびき肉以外の生鮮肉」は、情報源サイトには「羊肉・馬肉・猪肉・鹿肉・鴨肉など」と例示されており、いわゆるジビエ肉が含まれる。ジビエ肉等の生鮮肉の消費が少ないと感染率が高いことから、野生動物に内在する菌などにCovid-19感染率に関係するメカニズムが存在する可能性がある。
ただし、ジビエ肉の産地(および主要な消費地)は主に人口集中地区の外だろうから、単に人口集中度の低さと同じ意味合いを示すだけかもしれない。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

【+】清酒消費量
全国分析ではビールだけが相関有として抽出され、A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)の分析では、アルコール全般に渡って感染率を高めていると分かった。B-C群の県では清酒だけが相関有として抽出された。この違いは飲食店が提供する主流の酒類の差異と仮定すれば、飲食店が感染源となることを示唆する。

【-】酒豪型遺伝子の出現率
酒豪型遺伝子は、アルコールを短時間に分解する酒に強い体質を遺伝させる。日本人の58%が持つ。酒に弱いとは、アルコール摂取で体内に生じ、毒性があるとされるアセトアルデヒドが体内に滞留しやすいことを示す。
酒に弱い人が多いほど感染率が高い。アセトアルデヒドが感染抑止を阻害する可能性がある。酒豪型遺伝子を持たない人ほど感染しやすいと仮定すると、感染者が潜在する飲み会に参加したとき、感染しやすい人・感染しにくい人が存在することになる。

【-】玉葱・にんじん・ピーマン・だいこんの野菜類、味噌・かつお節の調味料、乳飲料の消費量
表題の食品の消費量が少ないほど感染率が高い。これらの継続的な摂取がCovid-19検出力を短期間に獲得するように肉体を醸成する(漢方薬的効能)か、一時的な摂取がCovid-19の抗体製造を促進する(ワクチン的効能)のか不明だが、背景にCovid-19感染率に関係するメカニズムが存在する可能性がある。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

【+】マヨネーズ消費量
「マヨネーズ」消費量と感染率に正の相関関係がある。「マヨネーズ」消費量に地域性はなく、背景にCovid-19感染率に関係するメカニズムが存在する可能性がある。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

【-】いか消費量
B群の北陸地方の地域性としていかの消費量が多く、感染率との相関はなさそうだ。

【+】ふりかけ消費量
A群の県(人口集中度が高く、感染率が高い県群)の分析では、ふりかけ消費量が感染率を低めていると分かった。B-C群の県では逆に感染率を高めている。B群の北陸地方の地域性としてふりかけの消費量が多く、感染率との相関はなさそうだ。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.82

各種学校当たりの生徒数

-0.80

幼稚園修了者数

 

-0.77

病気による小学校長期欠席児童数(年度間30日以上)

-0.71

小学校長期欠席児童数(年度間30日以上)

-0.70

幼稚園定員数

-0.68

大学教員当たりの学生数

-0.68

幼稚園学級当たりの園児数

-0.67

専修学校生徒数

-0.67

中学校長期欠席生徒数(年度間30日以上)

0.67

高卒者のうち短期大学進学者数[率]

-0.66

小学校児童数(第1学年児童数)

 

-0.65

特別支援学校生徒数(公立)

-0.60

保育所等利用待機児童数

特記する相関弱・なしの項目

判定

大学生年代人口と感染率に正の相関がある。

考察

【+】各種学校当たりの生徒数
各種学校当たりの生徒数と感染率に強い正の相関がある。
各種学校の例は、予備校・服飾学校・料理学校・看護学校・珠算学校・外語学院・インターナショナルスクール・自動車教習所・神学校など。
各種学校は全国一斉臨時休業政策の対象外。人気があって生徒数が多い各種学校が感染源となったと見られる。

【-】幼稚園修了者数、幼稚園定員数、幼稚園学級当たりの園児数、小学校児童数(第1学年児童数)
幼稚園児が多いほど感染率が低い。学校と幼稚園を2月28日から全国一斉臨時休業とした政策の有効性を示唆している。

【-】病気による小学校長期欠席児童数、小学校長期欠席児童数、中学校長期欠席生徒数(年度間30日以上)
学校長欠者が多いほど感染率が低い。学校を全国一斉臨時休業とした政策効果と同様の影響があったと見られる。

【-】大学教員当たりの学生数、専修学校生徒数
大学生年代層の人口が少ないほど感染率が高い。大学や専修学校が都市部に偏在するためとすれば、人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

【-】特別支援学校生徒数(公立)
特別支援学校生徒数が少ないほど感染率が高い。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

【-】保育所等利用待機児童数
保育所等利用待機児童数が少ないほど感染率が高い。保育所等利用待機児童が都市部に多いとすれば、人口集中度の高さが感染率を高めていることと同様と考えてよい。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.90

人口当たりの公立一般病院病床数

 

0.75

人口当たりの公立一般病院数

-0.70

2,500g未満の出生数

 
 

0.67

人口当たりの医薬品販売業数

-0.64

人口当たりの救急出動件数

 

-0.63

人口当たりの国民健康保険医療費件数(診療費)

-0.61

保健医療費(二人以上の世帯)

-0.60

国民健康保険被保険者数

特記する相関弱・なしの項目

判定

病院の規模の大きさと感染率に強い正の相関がある。

考察

【+】人口当たりの公立一般病院病床数
病床の多さと感染率に強い相関がある。入院者数が多い大型病院ほど院内感染が発生しやすいことを示唆する。一般に組織規模が大きいほど情報浸透の難度が高いことから、スタッフが多い大型病院は院内感染の注意喚起の浸透に時間を要するケースがあるのかもしれない。

【-】2,500g未満の出生数
B-C群の県では、難度の高い出産が少ないほど感染率が高い。全国分析では難度の高い出産が多いほど感染率が高く、真逆を示している。何か重要な要因が背後にあるような気がするが、筆者に知見がないので考察は容赦いただく。

【+】人口当たりの公立一般病院数、医薬品販売業数
医薬分業が浸透している地域ほど感染率が高い。無症状の感染者が院外処方する薬局でもウィルスを振り撒くリスクがある。患者が病院と薬局の両方を訪れることは感染リスクを2倍にする。

【-】救急出動件数、国民健康保険医療費件数(診療費)、保健医療費、国民健康保険被保険者数
社会的な医療コストが低い地域ほど感染率が高い。「ちょっと具合が悪い程度なら病院に行かない」気風や、病院が遠いなど通院コストが高い地域などで感染が拡大しやすいと見られる。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

0.82

年間降水日数

 

0.77

ばい煙発生施設数

-0.65

ウイルス感染症数

 

-0.61

ウイルス感染-感染原因不明

特記する相関弱・なしの項目

判定

年間降水日数と感染率に強い正の相関がある。

考察

【+】年間降水日数
第1波の感染拡大時期は冬季から早春の可能性が高いので、降水日数には降雪を含む。
降水または降雪による日照時間の短さと感染率に強い正の相関がある。日照の紫外線がCovid-19の感染抑止に効果があると見られる。

【+】ばい煙発生施設数
ばい煙も日照の阻害要因となり、年間降水日数と同類の影響を与えると可能性がある。

【-】ウイルス感染症数、ウイルス感染-感染原因不明
A群の分析では、ウイルス感染-感染原因不明が負の相関を持つ。逆の相関を示すことから、本項目はノイズの可能性が高い。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

-0.77

評価総地積(課税対象土地)

 
 

0.76

消費者物価地域差指数(保健医療)

0.76

人口当たりの工業・準工業地域面積

0.74

消費者物価地域差指数(諸雑費)

0.73

消費者物価地域差指数(被服及び履物)

0.73

労働者災害補償保険給付支給額当たりの件

-0.71

標準価格(平均価格)(工業地)

0.71

人口当たりの第2次産業事業所数

-0.70

タクシー料金

 

-0.70

完全失業者数

0.70

就業者数[率]

-0.69

月間有効求職者数(一般)(年度計)

 

-0.68

転職者数

-0.67

中高年齢者(45歳以上)月間有効求職者数(月平均)

0.67

消費者物価地域差指数(総合)

-0.65

大学卒業者のうち無業者数

 

-0.64

身体障害者就職件数

0.64

従業者1~4人の民営事業所の従業者数

-0.63

他市区町村からの通勤者数

0.63

男性パートタイム労働者数

-0.63

パートタイム月間有効求職者数(常用)(年度計)

 

-0.60

就職件数(一般)(年度計)

0.60

人口当たりの民営事業所数

特記する相関弱・なしの項目

判定

多様な産業が発達した地域と感染率に正の相関がある。

考察

おおむね全国分析と同じ。多様な産業の発達は都市を中心とすることから、人口集中度と同じ意味合いを示すと見られる。

【-】他市区町村からの通勤者数
郊外あるいは県外からの都市部への通勤者・通学者が多い地域ほど感染率が高い。人の移動がCivid-19感染のリスクを増すことを示唆している。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

なし

0.76

人口当たりの軽費老人ホーム定員数

 

0.74

人口当たりの介護老人福祉施設在所者数

0.73

人口当たりの介護老人福祉施設定員数

0.72

人口当たりの軽費老人ホーム在所者数

0.71

人口当たりの老人福祉センター数

0.70

人口当たりの介護老人福祉施設従事者数

0.61

人口当たりの民生委員(児童委員)数

特記する相関弱・なしの項目

判定

老人福祉施設数、在所者数と感染率に正の相関がある。

考察

【+】軽費老人ホーム、介護老人福祉施設、老人福祉センター
B-C群の県では、老人福祉施設がクラスター感染源になったことを示している。

【+】民生委員(児童委員)数
B-C群の県では、民生委員(児童委員)が感染源になった可能性を示している。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

 

0.79

富山県民延べ宿泊数

0.69

石川県民延べ宿泊数

-0.66

茨城県民延べ宿泊数

 

-0.65

栃木県民延べ宿泊数

-0.65

インド人延べ宿泊数

-0.64

ホテル客室数

-0.60

千葉県民延べ宿泊数

特記する相関弱・なしの項目

判定

富山県民・石川県民の延べ宿泊数と感染率に正の相関がある。

考察

宿泊数データは、Covid-19の感染が始まった2020年1月のデータを利用した。

【+】富山県民延べ宿泊数、石川県民延べ宿泊数
全国分析のとおり、『富山』より感染率上位の『東京』で宿泊した富山県民が地元へCovid-19を持ち帰り、県内で感染拡大後に、他県への宿泊者がウィルスキャリアとなって『石川』へ拡げた可能性がある。

【-】茨城県民延べ宿泊数、栃木県民延べ宿泊数、インド人延べ宿泊数、千葉県民延べ宿泊数が負の相関
表題の宿泊者が多いほど感染率が低い。これら4地域に共通する事情は思い当たらず、感染率が低い理由は不明。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

【-】ホテル客室数
B-C群の県では、小規模なホテルが感染場所となった可能性を示唆している。

負の相関項目

正の相関項目

相関係数

項目名

相関係数

項目名

なし

なし

 

0.75

織物・衣服・身の回り品小売店数

-0.65

大型小売店数

 

-0.64

標準価格(平均価格)(商業地)

 

0.60

スーパー・コンビニ・ドラッグストア合計数

特記する相関弱・なしの項目

判定

B-C群の県では、大型店舗よりも身近な小型店舗と感染率に正の相関がある。

考察

【+】織物・衣服・身の回り品小売店数、スーパー・コンビニ・ドラッグストア合計数
【-】大型小売店数関
B-C群の県では、大型店舗よりも身近な小型店舗が感染源になったことを示唆する。

【-】標準価格(平均価格)(商業地)
地価が低い商業地ほど感染率が高い。地価が低い商業地ほど集客が少ないはずなので、一般には感染率を下げる力が働く。しかし、事実は反対になった。筆者には知見がないため考察は容赦いただく。

B-C群の県(人口集中度が低いほど感染率が高い県群)を対象として分析した結果をまとめる。

次の施設・開催場は感染率と相関がある。
高齢者学級・講座、博物館、運動公園、社会体育施設、女性学級・講座、成人一般学級・講座、公民館、水泳プール、図書館、青少年教育施設。

感染率と相関がある生活スタイルとは、
☑ 場所:公衆浴場・理髪店・書店
☑ 行動:外出・浮気
☑ 状況:貧困・多忙

離・死別の単身女性と感染率に強めの正の相関がある。

保護施設在所者に対する支援体制が弱いと感染率を高める。

感染率と相関を持つ食材が存在する。
☑ 「豆腐」
☑ 「ジビエ肉」
☑ 野菜類のうち「玉葱・にんじん・ピーマン・だいこん」
☑ 調味料類のうち「味噌・かつお節・マヨネーズ」
☑ 「乳飲料」

2月28日から学校を全国一斉臨時休業とした政策の有効性はB-C群の県でも確認された。

大学生年代が多いと感染率が高い。

院外処方の薬局でも感染が起きている。

年間降水日数が多いと感染率を高める。

B-C群の県では、大型店舗よりも身近な小型店舗と感染率に正の相関がある。

付録:本分析で用いた統計仕様

項目

仕様

相関係数の強弱判定基準

相関係数値が持つ意味は、統計学が提供している知見に基づき、本分析では以下と定義する。

相関係数範囲

統計上の意味

本分析での感染率への影響

+1.0

+0.8

強い正の相関

値が大きいほど感染率が高い

+0.8

+0.6

正の相関あり

+0.6

+0.4

弱い正の相関

+0.4

-0.4

相関なし

感染率の高さに影響しない

-0.4

-0.6

弱い負の相関

値が小さいほど感染率が高い
※負数のため、-0.2より-0.7の方が値は小さい

-0.6

-0.8

負の相関あり

-0.8

-1.0

強い負の相関

有意水準

二種類のデータ組の分布状況に基づいて算出した相関係数に対し、有意水準5%として信頼性を検定する。
検定で有意水準が5%以下(裏返すと信頼度が95%以上)の相関係数を示したデータの組のみを分析対象に採用する。

検定仕様

次の手順で有意水準を検定する。

データの分布状況から歪度(平均値に対するデータの偏り傾向)・尖度(平均値付近のデータの集中度)を算出し、歪度±1.0以内、尖度±3.0以内で正規分布該否を判定する。

正規分布している場合は、さらにF検定でデータの分散を判別し、スチューデントのt検定またはウェルチのt検定で有意水準を算出する。

正規分布してない場合は、東日本(都道府県コード24の三重まで)と西日本(都道府県コード25の滋賀以降)の2群に分け、U検定で有意水準を算出する。

埋没した相関関係の顕在化

本稿は「県別」で相関分析するため、母集団のサンプルサイズは47(都道府県の数)である。
埋没した相関関係を顕在化するために、母集団から、感染状況の特徴に基づいてサンプルを抽出し、関係を分析する。

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この記事を書いた人
公政

ヒトの行動原理を、書籍や番組で得た「知恵」「知見」を基に言語化します。
ヒトの行動原理に、ソフトウエア開発畑での設計の仕事で蓄積した知見を組み合わせ、独自視点で編成し言語化した『知恵』を発信しています。
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