階層的な問題解決 -ソフトウエア設計シリーズ「離」④

表紙「階層的な問題解決」 技の和
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実践的な提案力を持つITコンサルタントの特徴を3回に分けて考察する。
本稿はその二番記事で、コンサルタントが「具体」➡「抽象」➡「具体」と階層をまたいで提案を紡ぎ出す思考プロセスを、身近な事例で考察する。

ソフトウエア設計シリーズ「離」④
階層的な問題解決 松浦公政 2025年
対象読者
階層的な問題カイゼン・解決に興味がある方
問題・課題の解決の三つのプロセスに興味がある方
階層的な問題カイゼン・解決の具体的イメージに興味があるITコンサルタント

記事の音声解説付き(下のプレイボタンで解説開始)

日常生活は解決すべき問題・課題との遭遇の連続

問題・課題の解決は、一般に「問題発見」「問題定義」「(狭義の)問題解決」の3つの思考工程に分解できる。

解決したい問題・課題の例 問題・課題を解決するプロセス 意識に浮かぶ想念
思考工程 思考内容
ランチどうする問題 問題発見 そもそも何が問題か 「腹減った・・・」「そう言えばランチに何を食べるか考えなければ」
(抽象的な認識)
問題定義 制約条件の明確化 「昼休憩は1時間」「フランス料理は高い」「今日は雨降り」・・・
(具体化の枠組み)
(狭義の)問題解決 問題を解決する手段 「カレー屋」「コンビニ弁当」「立食いうどん」「地下街の喫茶店」
(具体的な対策)

コンサルタントへの期待

コンサルタントが問題に直面した時、現実の事象を具体的に捉え(①低層)、いったん抽象化して本質原因を分析し(②高層)、汎用的な対策を具体化する(③低層)のように「階層を移動」して考える(問題解決の思考スタイル)。
この「思考の階層移動」と、前述した「問題発見」「問題定義」「(狭義の)問題解決」の3つの思考工程は、下図の関係を持つ。

階層的な問題カイゼンの図
【出展】細谷功『「具体⇆抽象」トレーニング』図36に筆者が加筆

階層を跨いだ問題カイゼンのプロセス

「ランチどうする問題」を『空腹問題』と狭く捉えず、『食料問題』『健康問題』など上層方向に視野を拡げて捉え直し、拡げた問題に関連する具体事象を深堀りして抽象課題を洗い出す。

具体事象例 食料視点・健康視点の抽象課題例
「腹減った・・・」 栄養が不足してきた
定期健診で年々血圧が上昇 塩分取り過ぎている
腹周りのぜい肉を掴むと3cm厚 食べ過ぎている
ピーマンを残す偏食 栄養バランスが悪い
同じ献立は4週以上空ける習慣 食費が高い
階段上ると息切れ5分 太っている

抽象課題・問題の発見が難しい理由とは ⇩

問題発見の難しさ      
  視野を拡げて捉える「抽象課題」は、現実には他人から言われて気づく方が多く、次の理由で「自力での気づき」は難しい      
    目先の欲望に囚われて、課題認識まで意識が回らない だから
第三者が持つ客観的な視点が重要  
  先入観(バイアス・思い込み)で、他人にはすぐ見える課題が、自身では見えなくなっている  
  何となく気づいてはいても、過去の習慣や制約条件に縛られて、課題を過小評価している  
           

深堀りして抽出した課題に対し、解きほぐして一層分解したり、共通項を見つけたりして分析を進め、キーワードに集約してから解決の優先順位を決める。

抽象課題例-分析表のパーツ
課題を解決する優先順位の決定指針とは 
  課題解決の上手な人が優先度の考察で用いる視点
  • 本来の自然な姿はどうなのか
  • 問題を抱えた人の本心は何を欲しているか

考察プロセスの典型的なパターンは ⇩

理想は全ての問題解消 とはいえ
費用対効果の考慮が必要

だから

現実には高優先の課題解決に留まる つまり
「問題の完全解消」ではなく「問題状況のカイゼン」を狙う

解決する課題を目的視点で整理すると ⇩

定義した解決対象の問題・課題の例 優先 解決する目的(解決対象) 解決する目的間にある矛盾・対立の多寡たかが、次ステップでの解決方針・手段の「選択肢の幅」「対策効果の大きさ」に影響する
減量したい
健康を損ないたくない
好きなものを食べたい
食費を抑えたい

定義が難しい原因とは ⇩

問題定義の難しさ      
  カイゼンの優先順位は、次の心理的理由で、自力での合理的な判断が難しい      
    目先の欲望(例:期限、費用など)に打ち勝てない だから
経験豊富な第三者の合理的な視点が重要  
  先入観(こういうものと昔から決まってる)を払拭できない
  錯覚(ウチは大丈夫)による過小評価を脱却できない
           
解決する目的の課題例   コンサルタントが知見として持つ「対策案候補」例
対応方針例   解決手段例
減量したい 食事量を減らす 三食確実に食べ、一回の食事量を減らす
昼食を抜く
低カロリー食品を摂取 セロリ
豆腐
健康を損ないたくない 必須の栄養素が多い食品を摂取 わかめ
サプリを摂取 ●●●●サプリ
好きなものを食べたい ある程度は我慢してもらう データを使った効果説明
好物を中心とするメニューを増加 料理のレシピ本紹介
食費を抑えたい サプリに頼らず自然食品を摂取 季節の旬の食品
安価な定価の食品リスト

各条件の解決手段のメリット/デメリットを勘案の上、解決方針案を策定すると ⇩

採択する解決方針案例 安価・低カロリーで栄養素を多く含む食品を摂取

具体的な解決手段に落とし込めば ⇩

解決手段例 冷ややっこ1個 をコンビニで買って昼食にする
わかめサラダ1個

解決が難しい原因 ⇩

(狭義の)問題解決の難しさ      
  (狭義の)問題解決は、次の理由で、最適な対策選定が難しい      
  目先の欲望(例:期限、費用など)に囚われて、本質原因を是正する対策を選定できない だから
第三者には業種を俯瞰する幅広い視野が求められる  
現状の枠組みに囚われて、他業種での取組の成功事例・知恵を応用する効果的・効率的な対策を選定できない
           

関連記事リンク

ソフトウエア設計シリーズのITコンサルタント向け記事は下表のリンクから。

一番記事 ITコンサルタントの思考スタイル
二番記事 本記事
三番記事 コンサルティング品質の決め手
ソフトウエア設計シリーズ全体の目次はこちら

この記事を書いた人
公政

ヒトの行動原理を、書籍や番組で得た「知恵」「知見」を基に言語化します。
ヒトの行動原理に、ソフトウエア開発畑での設計の仕事で蓄積した知見を組み合わせ、独自視点で編成し言語化した『知恵』を発信しています。
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